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マンダラデザインアートブログのsachiです。
国立新美術館に、「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」を観に行きました。
国内外で活躍する日本の現代美術家6名によるグループ展を開催いたします。本展に参加する6名の作家は1950年代から1980年代生まれまでと幅広く、表現方法も映像や写真を用いたインスタレーションをはじめとして多岐にわたります。これら作家に共通するのは、作品のうちに文学の要素が色濃く反映されていることです。
出典:https://www.nact.jp/exhibition_special/2019/gendai2019/
反体制的なメッセージを感じさせるものや、資本主義への疑問、淡々と社会を写し取る写真群など。
どれも社会性を帯びた作品ばかりだった。
いや、そんなおおげさな言い方はそぐわないのかもしれない。
彼らが表現する対象は、彼らにとっては身近なながめや出来事ばかりだから。
Contents
考えるきっかけの物語 田村友一郎の《Sky Eyes》
田村友一郎 《Sky Eyes》
この現実の社会を生きるわたし達を取り巻く環境、その中で湧き上がる疑問のようなものを丁寧に描写するとき、そこには図らずとも文学性が立ち現れるのだと思う。
考え方のおしつけではなく、物語をそのままのかたちでぽんと手渡されたとき、鑑賞者はおのずと自分自身で感じ始めることになるのだと思う。
田村友一郎 《Sky Eyes》
この世界の成り立ち方や仕組みなどに、疑問を抱く瞬間はたしかにあるけれど、すぐに忘れちゃう。そんな自分にも気がつかされた。
資本主義大国の存続のためには途上国の労働搾取があり、犠牲がある。
田村友一郎 の《Sky Eyes》は、コーヒーのマドラー等を象徴的に使って世界のありさまを表現していた。
タイトルの Sky Eyes は、実際には存在しないものを見たと認識してしまう「空目」と「上空からの視点」という2つの視覚に関わる要素を意味するのだそう。
夢かうつつか ミヤギフトシの美しい映像作品
ミヤギフトシ 《物語るには明るい部屋が必要で》
ミヤギフトシはこれまでもいくつかの作品において、沖縄人男性と沖縄戦に関わったアメリカ人男性との恋愛を扱ってきたらしい。本作品でもセクシュアリティーと沖縄が主題となっている。
写真と映像と音楽が溶け合うように展示されていて、美しかった。
夢かうつつか。そのような印象の絵ばかりで、観ている者が自然と自分の古い記憶にアクセスしてしまいそうな作品群。
小林エリカの構築する物語世界
実現しなかったチェコのオリンピック、同じく1940年の計画未完に終わった東京オリンピック、原子爆弾の原料となるウランやオリンピック聖火などにまつわる作品を提示する、小林エリカのインスタレーション。
(小林は1978年東京都生まれの漫画家、小説家)
過去から今日まで続く物語を、テキストドローイング・写真・映像・オブジェなどで組み立てている。
小林エリカ 《ドル》
ウランガラスを使ったオブジェは💲のフォルム。
米ドルの起源は、チェコのヨアヒムの谷から出た銀であるという。
ヨアヒムの谷から銀を掘り尽くした頃、そのさらに地底から出てきたのがウランだった。
ウランとオリンピック聖火の起源と歴史が、幾つもの視点で交わっている事実もこの展示で知らされた。
小林エリカ 《わたしのトーチ》
小林エリカ 《わたしの手の中のプロメテウスの火》
最後の方の水面のように見えたビデオインスタレーション。
作者の意に反しているのかもしれないけど、自分は「使用済み核燃料プール」を想起してしまった。
この展示ではその歴史までには触れていなかったけれども、それは、その後、原子力発電所のメルトダウン事故までをも経験してしまったこの国の国民だからこそ、の連想なのかもしれない。
豊嶋康子の構造的木工作品
豊嶋康子
幾何学的模様の彫刻が美しかった。
心をつき動かされた 山城知佳子の《家族の表象》
山城知佳子 《チンビン・ウェスタン『家族の表象』》
ささやかで平穏な日常に忍び寄る不穏な影。
それに気づきながらも、見て見ぬふりをし、これまでの自分のスタイルを貫こうとするひと。
だが、その影にじわじわと蝕まれていく苦しみ。
はたまた、影の存在に敢然と立ち向かおうとするひと。
あるいは、それとはまったく違う位相から祈りを捧げようとするひと。
沖縄の辺野古の埋め立て問題をテーマに、人々のこころに生じる歪みのようなものを描き出す映像作品。こころを揺さぶられた。
主人公の夫婦の歌いあげる、オペラ風の歌唱法と沖縄民謡風の歌のかけあいに、今の沖縄を象徴させており、観る者に強烈な印象を残す。
社会を考えさせらる北島敬三の写真群
北島敬三
見応えのある展示でした。
会 期: 2019年8月28日(水)~11月11日(月) 毎週火曜日休館
会 場: 国立新美術館
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