アートとデザイン

「 アール・デコの貴重書」 〜 アール・デコ様式美にふれる建物公開展2022@東京都庭園美術館

庭園美術館は、もとは朝香宮夫妻のご自邸でした。1920年代の滞欧中、当時全盛期だったアール・デコ様式に魅せられたご夫妻は、帰国後それらを取り入れた邸宅の建築を開始。内装設計はフランスの装飾芸術家アンリ・ラパンに依頼、ルネ・ラリックをはじめとしたアーティストが参加した贅沢な建築物になりました。
デザイン

【残像日録】Mandala Designのオリジナルトートバッグを作ってみた!

自分の屋号であるMandala Design & Chemicalsのオリジナルトートバッグをオンデマンドで作ってみました。想像以上に嬉しい(笑)サイズは30cm強のほぼスクエア型。マチも充分。5cmほどあります。まあ、トートバッグというよりもエコバッグに近いかも?今回注文したのはビスタプリントという印刷屋さん。2022年8月いっぱいで、日本から事業撤退するようです。とても便利に使わせていただいていたので残念です。
残像日録

【残像日録】香りという体験 〜 NOSE SHOPに行った

NOSE SHOPに行った。香りのうつったロートを鼻に近づけ嗅ぐタイプのテスターが並んでいる。久しぶりに色々な香りを試した。目を閉じて、「LOST IN TRANSLATION」という名の香りを嗅いだとたん、見知らぬ国の空港のロビーに降り立った気がした。それは、どこか暑い国であるが、若いころ住んだことのある東南アジアの空港ではない。訪れたこともない中近東都市のイメージの断片が、頭の中に広がる。その香りを身に纏いたいとは思わない。ただ、日常にうんざりし、自分の中にどこか殺伐としたものを感じた時に、そっとボトルのふたを開きたい。きっとそれは、しばしのマインド・トリップになる。印象の強い香りを嗅ぐことは体験である。そんなことを思った日でした。
アート

上野リチ ウィーンから来たデザイン・ファンタジー展@三菱一号館美術館

1903年、ヨーゼフ・ホフマンとコロマン・モーザーにより設立されたウィーン工房に誘われた上野リチ。1917年から在籍し、そこで精力的な創作活動をしました。1926年、ホフマンの建築設計事務所に勤務していた上野伊三郎との結婚を機に京都に移り住んでも、二都市を行き来しながら、引き続きウィーン工房の一員として活躍します。(リモートワークのさきがけ!!) そして、壁紙やテキスタイルなどの日用品や室内装飾など多彩なデザインを手がけました。
残像日録

【残像日録】淡い色味がたのしい!カラフルミニ大福

色鮮やかなものが大好きです。それはお菓子も同じ。まずは目でたっぷりと楽しんでから、ゆっくり味わっていただく。さいこう。少し前に買ったカラフルな大福も眼福、至福のうちにいただきました。irohaというブランドのお菓子。手前のお皿は、右からピスタチオ、北海道メロンのお味。向こう側の方は、いちごミルクとピーチ。
残像日録

【残像日録】なかよしカモの三兄弟はどこ行った?

よく行く近所の公園の池に、いつも三羽で連れ立って泳いでいるカモがいました。 彼らを見ると、いつも穏やかな気持ちになりました。ある時、彼らのうちの二羽がいなくなり、一羽きりになっていました。そのうち、最後の一羽もいなくなってしまい、なんだか散歩が物足りない気分の今日この頃です。
残像日録

【残像日録】魚喃キリコの『blue』を読んだ

魚喃キリコの『blue』を読みました。普段マンガはまったく読まないのですが、これはずっと読みたかったのです。思春期の胸がきゅっと痛むような感覚を懐かしく思い出しました。あー。あったよな〜こんな感じ、って。描写は、すっきりと強い線で描かれたミニマムの極致。セリフが少ない分、イメージを強く喚起されます。禅とか俳句のような表現を想起させる作品だと思いました。
残像日録

【残像日録】はじめてのワイナリー巡り

まずは目の前の葡萄畑に実りの感謝を込めて乾杯!①番から始めて、順に口に含む。個性あるそれぞれの香りを、田園の空気とともにゆっくりと味わう。至福の時間。どれも美味しい。最後の杯にさしかかる頃には、ぽわんとリラックスした心地に。結局、写真中央の ③2020マスカットベーリーA樽貯蔵が一番自分の好みに合っており、購入させていただきました。
文学

笑って泣いてやがて染み入る。吉川トリコ著『余命一年、男をかう』を読んだ。

非常に読みやすかった。情景描写がくっきりと鮮やかで、流行りのドラマを見ているみたいにすいすい読み進んでしまった。景気の悪いこの国の社会の状況やコロナ禍も反映されており、市井の人々の今の生活の記録としても読める印象。例えば、仔細にわたって描かれる主人公・唯の倹約術やポイント利用や資産運用に対する知識。老後2,000万円問題が記憶に新しいが、唯の節約も老後資金を意識したものだ。いまの人たちがどんな工夫をして決して多くはない賃金でやりくりしているか......(唯のケースはちょっと極端だけど)後世に伝えるべき風俗史になっているとも感じた。
残像日録

【残像日録】ワクワクオンライン飲み会セット

先日、家族がおうちで会社のオンライン飲み会をやっていて、ちょっと面白かったので書いておこうと思う。興味深かったのは、その日の夕方に宅配便で「オンライン飲み会セット」が届いたこと。ボックスを開けるとそこには......。メニューがあった。そして、オンライン飲み会のポイントなるものが。マニュアルである。
残像日録

【残像日録】ウクライナのお菓子でお茶タイム

たまたま買ったパイのお菓子がウクライナのものでした。パッケージが可愛らしい。Gronaというメーカーで、Cushionsというお菓子らしい。チョコレート味もあるそうだ。2個入りのパッケージが8個入り、計16個で、税込200円弱。お砂糖をまぶしたパイに甘酸っぱいチェリーのジャムが入っていて、ボリュームたっぷり。美味しい。紅茶を入れていただきました。
アートとデザイン

【残像日録】さよなら中銀カプセルタワービル

2022年4月12日、一度はその内観を見てみたかった、中銀カプセルタワービルの解体が始まりました。1972年、黒川紀章による設計で竣工されて50年。二度とこの目で見られなくなる前にせめて外観だけでも!と、銀座8丁目の現地に急ぎました。
アートとデザイン

「 アール・デコの貴重書」 〜 アール・デコ様式美にふれる建物公開展2022@東京都庭園美術館

庭園美術館は、もとは朝香宮夫妻のご自邸でした。1920年代の滞欧中、当時全盛期だったアール・デコ様式に魅せられたご夫妻は、帰国後それらを取り入れた邸宅の建築を開始。内装設計はフランスの装飾芸術家アンリ・ラパンに依頼、ルネ・ラリックをはじめとしたアーティストが参加した贅沢な建築物になりました。
デザイン

【残像日録】Mandala Designのオリジナルトートバッグを作ってみた!

自分の屋号であるMandala Design & Chemicalsのオリジナルトートバッグをオンデマンドで作ってみました。想像以上に嬉しい(笑)サイズは30cm強のほぼスクエア型。マチも充分。5cmほどあります。まあ、トートバッグというよりもエコバッグに近いかも?今回注文したのはビスタプリントという印刷屋さん。2022年8月いっぱいで、日本から事業撤退するようです。とても便利に使わせていただいていたので残念です。
アート

上野リチ ウィーンから来たデザイン・ファンタジー展@三菱一号館美術館

1903年、ヨーゼフ・ホフマンとコロマン・モーザーにより設立されたウィーン工房に誘われた上野リチ。1917年から在籍し、そこで精力的な創作活動をしました。1926年、ホフマンの建築設計事務所に勤務していた上野伊三郎との結婚を機に京都に移り住んでも、二都市を行き来しながら、引き続きウィーン工房の一員として活躍します。(リモートワークのさきがけ!!) そして、壁紙やテキスタイルなどの日用品や室内装飾など多彩なデザインを手がけました。
アートとデザイン

【残像日録】さよなら中銀カプセルタワービル

2022年4月12日、一度はその内観を見てみたかった、中銀カプセルタワービルの解体が始まりました。1972年、黒川紀章による設計で竣工されて50年。二度とこの目で見られなくなる前にせめて外観だけでも!と、銀座8丁目の現地に急ぎました。
アート

感動!夜空に輝いた平和への祈り〜レッドクリフのドローンショー

レッドクリフさん、まったく知らなかった。こんなにすごい会社が日本にもあったとは!なぜ開会式でこちらをアサインしなかったのだろう?国家的イベントにおいて他国に依頼するより日本製が良いに決まってるのに。公式サイトによると今回のドローンショーも「自主実施しました」とあったけど、新しい会社で、オリンピックの頃はまだ熟成していなかったのかな?ともあれ、日本のドローンアートのこれからが非常に楽しみになりました!
アート

わたし達に問いかける「ユージーン・スタジオ 新しい海」展 @東京都現代美術館

ユージーン・スタジオの作品の印象は、どれも端正。表現としての装飾を極限まで削いだかたちをとっているように見える。禅的でもあるとも言える。そしてそれは、美しいフォーマットで提示される現代社会への(あるいはそこに生きるわたし達への)問いかけだ。『2001年宇宙の旅』でキューブリックが描いたモノリスという存在とも、どこか通じるものがあると感じた。
アートとデザイン

北欧デザインの実力!自然が宿るここちよいデザインが勢揃い「ザ・フィンランドデザイン展」

ムーミン、イッタラ、マリメッコ。日本人にも馴染みの深いフィンランドデザインです。渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中「ザ・フィンランドデザイン展〜自然が宿るライフスタイル」に行きました。混雑状況は気になりましたが、チケットを確保し自分は予約なしで行きました。それほど混んでいなかったのでほっとしましたが、現在はどうでしょうか?サイトを確認してから訪れることをお勧めいたします。
アート

愛にあふれてる!ONION氏のつくる可愛くて豊かな世界

アーティストであるONION(鬼塚哲郎)氏の個展「ONION MOSAICO展 ~ Ryu ~ 」 を観に、清澄白河のギャラリーを訪れました。ONION氏の個展には、以前も伺ったことがあります。前回の展示のあとONION氏は、単身イタリアに渡りました。7年間のモザイク修行を経て帰国。故郷の宮崎に戻りました。今回はモザイク作家としての個展です。
アートとデザイン

【残像日録】世紀末ウィーン好きは必見!今から楽しみな「上野リチ展」

今朝の日曜美術館は上野リチの特集。不勉強ながらお名前も知らなかった。ところが出てくる作品、作品、どれも素晴らしく好き!で驚きました。それもそのはず。大好きな世紀末ウィーンの重鎮ヨーゼフ・ホフマンに師事していた方らしいのです。
アートとデザイン

紙好きさん必見!吉祥寺のペーパーメッセージで「不思議フェア」が開催されているよ!

ペーパーメッセージ吉祥寺店で可愛らしいフェアをやっていると聞き、行きました。キュートな紙雑貨がいっぱいでその空間にいるだけで幸せ気分!未確認生物「UMA」(ユーマ)や深海の生き物などをモチーフにした、不思議な商品がたくさん。店頭にあったフライヤーがまた可愛かった!商品はオンラインでも購入可能だそうですよ♡
アートとデザイン

北欧デザインの原点!「サーリネンとフィンランドの美しい建築 展」

息子のエーロ・サーリネンデザインの家具が並べられていたスペース。中央にあるチューリップチェアはミッドセンチュリー好きには憧れのまと。赤はアーム付き。青はアームレス。青のスツールもかわいいな。
アートとデザイン

カルーセルエルドラドはどこに行くの?〜「思い出のとしまえん」@石神井公園ふるさと文化館

「としまえんの乗り物の第二の人生」というボードには、カルーセルエルドラドはなかった。 調べてみても、一度解体してメンテナンスする、という以上の情報はない(2021年10月6日現在)。カルーセルエルドラドが2010年に認定された「機械遺産」には「動く状態で存在すること」という条件があるのだそうだ。確かに作られて100年以上の月日が流れ、老朽化しているだろう。しばらくの間はお休みして、またどこかで会えたらいいな。「としまえん」も「西武園ゆうえんち」も西武グループ所有だから、カルーセルエルドラドは、西武園に行く可能性が高い?!かもしれませんね。
音楽

Sportify(スポティファイ)のちらしが新聞折込に〜 Z世代の生活傾向

数日前、我が家でとっている新聞にSportify(スポティファイ)のちらしが入っていました。Spotifyは世界最大手の音楽配信サービス。スウェーデンの企業。2021年7月時点で、3億6500万人(うち有料会員1億6500万人)のユーザーを抱えているとのこと。(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/Spotify)色合わせがきわめて北欧。良質な印刷の、カッコいいA3判ちらしを手にとってしみじみとながめました。手触りすべすべです。でも、これって費用対効果としてどうなのだろう......。
残像日録

【残像日録】自然のめぐみと高木正勝

高木正勝は今、山の中に暮らしていて、その自然とともに生きる日々を「こといづ」という本に書いている。豊かな表現がいっぱいで、読んでいるだけで山の風を浴びたような感覚になる。素晴らしい。いずれここにも書こうと思います。高木正勝については過去にも何度か書いています。彼は実に、唯一無二の音楽家だと思う。
旅と音楽

【残像日録】秋の川越散歩

さて、この日のハイライトは、「小江戸蔵里」での利き酒体験でした。「小江戸蔵里」はもともと酒蔵だった建物をリノベーションしてできたのだそう。「おみやげ処」とお食事できる「まかない処」と、埼玉県の34蔵の地酒が揃う「ききざけ処」に分かれており、新しく清潔で洗練されたスペースでした。「ききざけ処」どころで試飲できたのは以下のお酒。ワンコイン(500円)で4種類選べます。もちろんほんの少しずつなのですが、お味は十分楽しめます。
旅と音楽

【残像日録】夢から覚めても「白春夢」

2020年12月リリースのMy Hair is Bad の「白春夢」。この曲ほど、あのステイホーム期の感覚をよく表している曲があるだろうか。若い人特有の優しい言い回しの歌詞と、つぶやくように淡々と歌い上げる椎木氏のボーカルに、今聴いてもあの頃が自然と思い出され、こころが揺さぶられる。家にいるのに「早く帰りたい」と思ってしまうこと。閉塞感とともに感じる、浮遊感。非現実的な世界にいるようなおさまりのなさ、居心地の悪さ。
デザイン

快適!西武の特急ラビューに乗った!秋の秩父へGO

ラビューの基本デザインを監修したのは、建築家の妹島和世氏。座席や床面などのテキスタイルデザインは、安東陽子氏。何てきれいな色味なんだ。そしてどこをとっても丸みを帯びていて可愛らしい。椅子についている取っ手(ハンドル?)のかたちのやさしさ。窓が広いので日差しもたっぷり。まるでリラックスできるサンルームのよう。椅子のラインの柔らかさ。首当てまでもエッジが丸みを帯びている。やさしい。座っているだけで包み込まれるようです。。
音楽

ヨルシカ「花に亡霊」や Eve「いのちの食べ方」を見ながら創作について考えた

ヨルシカ「花に亡霊」や Eve「いのちの食べ方」 なんというか、饒舌なんだ。過剰なほどに。 目が離せない感じの疾走感。イメージの洪水。圧倒されてしまう。 ビジュアルから受ける粗削りな印象は表現として未成熟なところもあったりするかもしれないけれど、それが魅力とも言える。

辻仁成さんナビゲート、オンライン・パリツアーに参加した!

巷で広がる「オンラインツアー」のことは聞いたことはあったけど、どうだろう、画面で見ているだけでそれって楽しいのかな…と、これまで関心を示すことはありませんでした。ですが、今回参加してみて、なかなかどうして楽しいじゃないか?と思ったのでレポートします! カメラさんがきちんと追ってズームしてくれるので、現場で見学していたら遠くて(高くて)よく見えないようなところまで詳しく見ることができたのが本当によかった。
アートとデザイン

ミュンヘンでレトロフューチャーなホテル「コクーンスタークス」に泊まった!〜番外編

この旅の最終日に泊まったミュンヘンのホテル「コクーンスタークス」が強烈にカッコよかったので、写真でご紹介。こんなにレトロフューチャーなお洒落ホテルなのに自分の知る限り、ブログ等に書いてる人はいない模様。 インスタなどでもあまり投稿はない。お値段もお手頃でこんなに素敵なのに!ミッドセンチュリーのデザインが好きな人にはたまらない雰囲気だと思います。
旅と音楽

ミュンヘン・プラハ・ウィーン!列車移動で旅をした〜ウィーン編

ハプスブルク家に仕えた貴族オイゲン公が建てた夏の離宮べルヴェデーレ宮殿にてクリムトを。 今ほかの世界中のどこにでもない、自分の目の前に「接吻」がある。これはものすごい幸福な気持ちだった。混んでいたけど日本の美術館とは比べ物にならないくらいゆったりと見れた。写真も撮り放題だし。宮殿も広々としてきれいだった。
旅と音楽

ミュンヘン・プラハ・ウィーン!列車移動で旅をした〜プラハ編

まずはカレル橋まで石畳の歩道をひたすら歩く。とにかくどの建物を見てもおしゃれ。名も知らぬ建物のどれもこれも。中世の名残を残した街の雰囲気にうっとりした。 カレル橋などに並ぶ銅像は全体的に黒っぽい。そして手にしている法具だけが金色に塗られているのがカッコいい。
旅と音楽

ミュンヘン・プラハ・ウィーン!列車移動で旅をした〜ミュンヘン編

2018年4月、ミュンヘン・プラハ・ウィーンの三都市を、列車などを使いながら移動し旅をしました。東京〜ミュンヘン間のフライトは貯めたマイレージを使用、宿泊場所はAirbnbやゲストハウス・ホテルなどを事前予約。プラハからウィーン、ウィーンからミュンヘンへの移動列車もあらかじめオンラインで予約・購入しておきました。アーティスティックな建造物などを中心に、撮った写真とともに都市別にレポートいたします!
アート

未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命 @森美術館(その2)

電通による「OPENMEALS」。観ていて、とてもワクワクした。 「食のデジタル化」をテーマとした食の進化についてのプロジェクトで、いくつかあるコンテンツのうち、今回展示されていたのは「SUSHI SINGULARITY」!!
文学

笑って泣いてやがて染み入る。吉川トリコ著『余命一年、男をかう』を読んだ。

非常に読みやすかった。情景描写がくっきりと鮮やかで、流行りのドラマを見ているみたいにすいすい読み進んでしまった。景気の悪いこの国の社会の状況やコロナ禍も反映されており、市井の人々の今の生活の記録としても読める印象。例えば、仔細にわたって描かれる主人公・唯の倹約術やポイント利用や資産運用に対する知識。老後2,000万円問題が記憶に新しいが、唯の節約も老後資金を意識したものだ。いまの人たちがどんな工夫をして決して多くはない賃金でやりくりしているか......(唯のケースはちょっと極端だけど)後世に伝えるべき風俗史になっているとも感じた。
文学

『月夜の森の梟(ふくろう)』 小池真理子著

夫との出来事の記憶や、彼を亡くしたばかりの今感じることなどが、著者の住む豊かな森の季節の移り変わりとともに語られる。自然描写と心象風景とが響き合い、そして溶けあうような、厳かな境地がどの掌編にも描かれていた。(前書きの最後の行を読んで思ったようなことはまったく余計な心配!なのだった)哀しみからの復活、再生の方法などわたしにはわからない、と著者は書く。わからないこと、それ自体をここで書いてきたつもりだと。
本と映画

『ディープフェイク 〜ニセ情報の拡散者たち』ニーナ・シック著

ディープフェイクとは何か。「AIで生成されたニセのゼレンスキー大統領が降伏を表明しウクライナ市民に投降を呼びかける」フェイク動画が、ネット上に出回った、というニュースを見た。ディープフェイク動画が、世界の未来に揺さぶりをかけるのを目の当たりにした。今回のウクライナ侵攻では、この動画が出る前にもフェイク情報は色々とあったらしい。メディアサイトを装い、親ロシアの主張を繰り返してきたアカウントの編集長の女性の顔と、コラムニストとされてきた男性の顔はいずれも自動生成されたAIの顔だったという。おそらく上に書いたGANが使用されたのではないか。ソーシャルメディアもそうだが、もっとも怖いのはテレビなどのマスメディアがある意図を持ってそういったフェイク情報を拡散することだと思う。
本と映画

クリスマスシーズンになると読みたくなる本「サンタクロースっているんでしょうか?」

この時期になると手に取りたくなる、偕成社の「サンタクロースっているんでしょうか?」(ニューヨーク・サン新聞 社説/中村妙子 訳/東逸子 絵)。自分がまだ子どもでサンタさんを待っていた頃のこと、そして我が子にサンタさんが来ていた頃のことを思い出します。
本と映画

【残像日録】「凪に溺れる」と「100万回生きたねこ」

青羽悠氏の「凪に溺れる」を読んだ。読み始めてすぐに「面白いけど今の自分には必要のない小説だな」と思った。そして、自分のこの感想は何を意味するのか?と考えた。自分はたぶん、タイトルに惹かれて読もうと思ったのだと思う。海の穏やかな状態である「凪」。そこで溺れるというのはどういうことだろう。タイトルの叙情性に惹かれた。
本と映画

ずっと気になっていた ジェームズ・レッドフィールド著「聖なる予言」を読んだ

人間は、誰もが幼少時の家族関係の中で獲得した「コントロールドラマ」を演じているのだとのこと。自分が家族の中でどのように振舞っていたかによって、被害者・傍観者・攻撃者・脅迫者いずれかのドラマを生涯演じ続けるのだという。その事実に気がつき、その言わば脚本というか癖?から抜け出さないと、成長が望めない。 いつまでも同じところでぐるぐるしている人生になってしまうとのこと。
本と映画

インド哲学を想起させる 小川洋子著「ブラフマンの埋葬」

物語のなかで「僕」が飼っている生き物の名前は「ブラフマン」。自分が連想したのは、ブラフマンとアートマンでした。ブラフマン(梵)は、インド哲学における宇宙を支配する原理で、アートマン(我)は個人を支配する原理。これらが同一であることを知ることが、 古代インドにおけるヴェーダの究極の悟り=梵我一如(ぼんがいちにょ)です。そして、「僕」が管理人を務める「創作者の家」に住む創作者たち。作家、詩人、哲学者、画家、音楽家、舞踏家...と色々で、彼らが「アートマン」という位置付けなのではないか?と感じました。一様に我が強いように見える彼らに比して、「僕」や彼の飼う「ブラフマン」はその対極にいるように見えました。
文学

めすねずみに共感 「ねずみ女房」ルーマー・ゴッテン著

いまの境遇に不満があるわけではないけれど、ひょっとしてほかの人生もあり得たのではないか? 今風の言い方をすれば、別の世界線に思いを馳せること。 わたし達は、こういうことをするのはヒトだけだと思っている。 だが、このめすねずみは「今持ってない、何かがほしかった」。自分は、このめすねずみを愛おしく感じた。
アートとデザイン

本棚劇場に興奮!隈研吾建築の「角川武蔵野ミュージアム」に行ってきた その1

大規模複合施設「ところざわサクラタウン」の中にある、角川武蔵野ミュージアムに行ってきました。図書館と美術館・博物館が融合したような空間、というコンセプトのもとに作られたわくわくするような知の複合施設。館長は編集工学者の松岡正剛氏。入場チケットはあらかじめオンラインで購入しておきました。自分は12:00〜13:00入場枠のKCM スタンダードチケットを購入。一般は、1,200円なり。(当日券は1,400 円)このチケットで本棚劇場を含む4Fと5Fの入場が可能です。
文学

村田沙耶香は異色の作家!「生命式」は人生の流れを変えたい時に読むのがおすすめ

村田沙耶香は現行の文明や常識にとらわれない、清々しいほど狂った世界を生き生きと描き出す。 また、その世界の中で疑問などを感じつつも、我々のように普通に生活している主人公は健気で愛おしく、読み進むにつれ彼女に対しての親しみが深まっていく。
文学

2020年本屋大賞 大賞受賞作「流浪の月」凪良ゆう著 感想

物語がディテールまで丁寧に描かれていて、映像が目に浮かぶよう。警察沙汰のようなことが何度も起こるが、展開も自然。そして描かれる人間の造型描写も深い。それぞれの人間について、あの過去ゆえにこうなってしまうんだろうなとか、ああいう生い立ちがあるからこう振る舞うんだろうなとか、いちいち納得できる。ネットの存在がこの事件やふたりの関係性を複雑にし、かつ物語をスリリングにしている、という事実はとても現代的だ。
文学

「某」川上弘美のこわく懐かしい世界

「誰でもない」とされる者が、色々な人間に生まれ変わっていくお話。 読み始めは、面白い試みだけど書き方が少し陳腐だなと感じ、川上弘美にしてはありきたりだと途中で投げ出しそうになった。 だが、読み進むにつれてしだいに味わい深くなっていった。 生まれ変わった人間にその前に生きた人生の経験も織り重ねていき(当人に記憶もある)、たとえその人間が生まれたばかりであってもどんどん人間が深化していくような展開。
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