ご訪問いただきありがとうございます。
マンダラデザインアートブログのsachiです。
『ワールド・クラスルーム』展を森美術館で鑑賞しました。
1990年代以降、現代アートは欧米だけでなく世界の多様な歴史や文化的観点から考えられるようになりました。それはもはや学校の授業で考える図画工作や美術といった枠組みを遙かに越え、むしろ国語・算数・理科・社会など、あらゆる科目に通底する総合的な領域ともいえるようになってきました。(中略)
本展は、学校で習う教科を現代アートの入口とし、見たことのない、知らなかった世界に多様な観点から出会う試みです。
出典:https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/classroom/
森美術館開館20周年記念展です。
入口のボードには、これまで当館に展示した世界のアーティストのチャートがありました。
展示された日本人アーティスト。
以下、印象に残った作品を撮った写真とともに投稿します。
米田知子
《マーラーの眼鏡―交響曲(未完成)第10番の楽譜を見る(「見えるものと見えないもののあいだ」シリーズより)》米田知子
本作は米田の代表的シリーズのひとつで、心理学者のジークムント・フロイトや小説家の谷崎潤一郎など歴史に大きく翻弄された近現代の知識人が実際に使用していた眼鏡と、彼らにゆかりある文章や写真・楽譜などを組み合わせてモノクロ写真に収めたものです。
作品展示ボードより
モノクロームの美しい写真群。
その着想が面白い。
写真を前に鑑賞者が知識人達に思いを馳せる。その時間も含めて作品になる。
米田氏はロンドン在住。
ミヤギフトシ
《オーシャン・ビュー・リゾート》ミヤギフトシ(2013年 ビデオ、サウンド 19分25秒)
静謐なイメージが魅力的な映像作品だった。
(作家本人による?)英語での静かなナレーションに日本語字幕がついている。
全編にわたり悲しみの雰囲気が漂っているようだった。
以前こちらで観たミヤギ氏の作品↓でもそう感じました。
イー・イラン
《TIKAR/MEJA(マット/テーブル) 》イー・イラン (2022年)
カラフルで楽しい作品でした。
ジャカルタ・ウェイステッド・ アーティスト
《グラフィック・エクスチェンジ 》ジャカルタ・ウェイステッド・ アーティスト (2015年)
作品横にモニターがあり、ジャカルタの街並みや、看板グラフィックのビフォーアフターが流されていた。
展示されている看板は、改善前のもの。
自分は昔ジャカルタに住んでいたことがあるので懐かしくながめた。
宮島達男
《Innumerable Life/Buddha CCI cc-01 》宮島達男 (2018年)
宮島達男のアイコン的作品である、数字の点滅するデジタルカウンター。
LEDの数字ひとつひとつは生命を表し、それぞれが異なるスピードでカウントを繰り返す。
李禹煥(リ・ウファン)
《対話》(上)(2017年)・《関係項》(下)(1968/2019年)李禹煥(リ・ウファン)
リ・ウファンの思索的空間。
杉本博司
《観念の形 》シリーズ 杉本博司
杉本博司の禅にも通じる美意識が好きです。
彼の作品には、生と死、そして宇宙を感じる。
片山真妃
片山真妃
片山真妃は、これまで一貫して抽象絵画を制作しており、特定の人物や事象から導き出された数値を、独自のカラーチャート(色変換)や数式を用いて配色や構図に変換する手法を特徴としています。
作品展示ボードより
ある法則性に基づいてキャンバスの大きさや描く形や色を決めていく、という制作方法がとても面白かった。
宮永愛子
《Root of Steps 》宮永愛子 (2023年)
これらナフタリンで作られた靴は、六本木にまつわる人々が履いていたものを元にしている。
ナフタリンは常温で昇華するので靴の形はだんだんと無くなってしまう。が、再結晶してどこかにあり続ける。
たとえ目には見えなくてもその場に存在する、その確かさを表現しているとのこと。
インスタレーションとして美しい作品だった。
田島美加
《アール・ダムーブルモン(アラベケ)・アール・ダムーブルモン(カレナ・マイヒバ)》田島美加 (2021年)
グラデーションが美しい二対の作品。
展示室の明かりが、一定の間隔で点いたり消えたりしていた。
蓄光性の顔料が塗られているため、照明が落ちると作品は光を放つ。
幻想的。
そして時間の経過とともに光は失われていく。
田島美加はニューヨーク在住のアーティスト。
会期:2023.4.19(水)~ 9.24(日)
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
コメント