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マンダラデザインアートブログのsachiです。
昨年の秋。
李禹煥(リ・ウファン)展を観に、 国立新美術館に行きました。
国立新美術館では開館15周年を記念して、国際的にも大きな注目を集めてきた「もの派」を代表する美術家、李禹煥(リ・ウファン、1936年生)の東京では初めてとなる大規模な回顧展を開催します。
東洋と西洋のさまざまな思想や文学を貪欲に吸収した李は、1960年代から現代美術に関心を深め、60年代後半に入って本格的に制作を開始しました。視覚の不確かさを乗り越えようとした李は、自然や人工の素材を節制の姿勢で組み合わせ提示する「もの派」と呼ばれる動向を牽引しました。また、すべては相互関係のもとにあるという世界観を、視覚芸術だけでなく、著述においても展開しました。
出典:https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/leeufan/
李禹煥(リ・ウファン)は「もの派」を代表する作家
リ・ウファン。
瀬戸内の直島に行った際、その名を冠した「李禹煥美術館」があるのを知りました。
それで名前は知っていたけれど、意識して作品を見るのは今回が初めて。
久しぶりにザ・「現代美術」というものを鑑賞した気がしました。
石や鉄やステンレスや、筒に入った土などを前に「これは一体何を表現しているのか??」と、足りない頭で思索。
感性も鈍くあまり良いひらめきは得られなかったけど、様々な作品を経験として受け止めました。
面白かった。
リ・ウファン氏は自然や人工の素材を組み合わせ提示する「もの派」という動向を牽引した作家であるという。「もの派」には他に関根伸夫などがいるらしい。
「もの派」とは?
出典:https://artscape.jp/artword/index.php/もの派
上は、絵画以外で撮影が認められていた、「関係項ーサイレンス」というシリーズの作品。
石、岩、紙、鉄、ステンレス。
こういった素材を大きな加工もせずに配置する「もの派」的作品がずらりと展示されていた。
《関係項―ヴェルサイユのアーチ》2014年 石、ステンレス
こちらの作品は屋外に。
フランスでも展示されたことがある大作。
だけど自分は彼の「もの派」的作品よりも、次のセクションの絵画作品の方がずっと好きでした。
リ・ウファン「風景」「点より」「線より」シリーズが美しい
「風景」というタイトルの3つの作品は、オレンジ・ピンク色の蛍光塗料スプレーで描かれている。
この真ん中に立っていると、微妙に異なる色味が自分の頭の中で点滅してくるような気がしてくる。
幻惑的な空間に吸い込まれていく感覚。
《風景 I, II, III》 1968/2015年 スプレーペイント Photo: Nobutada Omote
出典:https://leeufan.exhibit.jp
「点より」「線より」シリーズは美しく数も多く、圧倒された。
リ・ウファン氏は書道を長くやっていたらしい。
「応答」シリーズもグラデーションがきれいで見入ってしまった。
ミニマムなイメージの作品群がたいへん魅力的でした。
どれかひとつ、お部屋に飾りたいなと感じました。
この展示、2023年1月現在は神戸に巡回しています。
2023.6月追記しました
↓
坂本龍一最後のアルバムアートワークは李禹煥の書き下ろし作品
2023年3月28日に亡くなった音楽家の坂本龍一のアルバム『12』のジャケットはリ・ウファンが手がけた。
坂本龍一がリ・ウファンのことを敬愛し、これまでも共に仕事をしていたということは坂本氏が亡くなってから初めて知りました。
彼は亡くなる前日、病院のベッドのよく見えるところに、リ・ウファン氏が書き下ろしたこの原画を飾らせたそう。彼が人生の最後に目にしていた絵がこの作品だったという記事を読んで、慄然とさせられました。
坂本さんは3月19日に自宅で食事をして就寝後、真夜中に気胸で病院に救急搬送された。肺の状態は悪く、緩和ケアに移ったのは25日のこと。坂本さんは医師と握手して礼を述べ「もうここまでにしていただきたいので、お願いします」と語ったという。
その後、事前に決めた葬儀で流す曲目を選び直し、中国での展覧会の打ち合わせをオンラインでこなし、音楽監督を務める東北ユースオーケストラの公演も病床で見守った。ベッドの正面に、1月発表のアルバム「12」のジャケット用に現代美術家の李禹煥さんが描き下ろした絵を飾らせたのは3月27日。そして、28日未明に亡くなった。
出典:坂本龍一さん最期の日々「もうここまでに」 日記含め刊行
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF190P30Z10C23A6000000/
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展示を見終わると、ロビーフロアのパブリックスペースに魅力的なインスタレーション作品が。
玉山拓郎氏の「Museum Static Lights」。
玉山氏は、「空間表現の可能性をスケールから解放する現代美術家」だそうだ。
その後、地下に降りてミュージアムショップへ。
国立新美術館の休憩スペースの、この椅子には必ず毎回座ります。
憧れのアルネ・ヤコブセンのスワンチェアと、エッグチェアね!
お部屋にほしい!
それでは。
開館時間:10:00~18:00
会 場:国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558東京都港区六本木7-22-2
主 催:国立新美術館、朝日新聞社、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
協 力:SCAI THE BATHHOUSE
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