映画『博士の愛した数式』を鑑賞。
静かなたたずまいの奥に広がる、気が遠くなるほど豊かな世界。
小川洋子の小説に流れる雰囲気を、きっと忠実に再現している
のだろう。
原作、まだ読んでないけど。
宇宙の根源的な真理みたいなものを小説で描くのが夢だ、というようなことを、彼女は以前どこかで書いていた。
今回映画を見終わった後に、それを思い出した。
この作品で、彼女はそれを果たすことができたのではないかな。
いや、まだ小説、読んでないんだっけ。
80分しか記憶が続かない天才数学博士の姿を通して描かれていたこと。
それは、「時間」というものの不確かさ、と受け止めた。
最後に語り部のルートが黒板に書いた言葉にも、凄みを感じる。
――「時は流れない」。
この作品を集約させた言葉だと思う。
(小説版にもそれはあるのかな。)
時は流れている、という我々が無根拠に信じていること、をきっぱりと否定している。
そう、時は流れていることになっているわけなのですよね、
ホントはね。
瞬間の中に垣間見える永遠というものを、時間軸の一部を失われた博士という存在や、時の概念など超越してしまっている「数」を通して表現したかったのだろうな。
途中、薪能のシーンで観客席に小川さんが座ってたと思うんだけど、人違いかな。(クレジットには出ていなかった)
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