森美術館における「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命」展についてのレポート、
その1から続きます!
電通による「OPENMEALS」に未来へのワクワク体感
電通による「OPENMEALS」。
「食のデジタル化」をテーマとした食の進化についてのプロジェクトで、いくつかあるコンテンツのうち、今回展示されていたのは「SUSHI SINGULARITY」!!
シンギュラリティとは、 AIが発達して人間の知性を超えるその特異点を指すが、お寿司とこの言葉を掛け合わせるのが超クール!で同時にちょっと間抜けな(かわいい?)印象もあったりして、未来に対するワクワクするような気分がひさびさに発動した。
公式サイトを見にいった。
「寿司の特異点を超越せよ」
寿司がデジタル化され、インターネットに繋がる。
そして、あらかじめデジタライズされた我々の体内データと繋がり、バイタルや遺伝子などの体データをもとに寿司のハイパーパーソナライズが可能になるのだそうだ。
ぎゃーーー!そんなお寿司、イヤ!
でもちょっと食べてみたいかも(笑)
「CYBER WAGASHI」なるコンテンツもあるそうだ。
特定の1日の気象データを使って、モデルを生成、3Dプリンターで出力する。
「風速」「気圧」「気温」などで作った独自のアルゴリズムにより、日によって異なるデザインの和菓子ができるのだとのこと!
森ビルのレストランで実際にいただけるらしい。(ウェブサイトに情報あり)
http://www.open-meals.com/cyberwagashi/index.html
その他、データ食のデジタルフォーマット「CUBE」も面白い発想だ。
他にも「DEGITAL ODEN」なんてコンテンツもある(笑)
実際に作ったデジタルおでんを食べてみると、本物と区別がつかないほどの味と食感が再現されているのだそうだ!驚き!
食のデジタル化というアイデアで未来を作り出していく興味深い取り組み!
期待しながら見守りたい。
「マン・マシン」〜 となりのロボット
ヴァンサン・フルニエの「マン・マシン」シリーズは、「仕事に従事していない瞬間」のロボットの姿を撮ったもの。
個人的には、たまたま通りかかって写り込んだ感じのASIMOにどきっとした。
物思いにふけって歩いていてカメラを向けているこちら側に気づき、はっとした感じの彼の姿。
何か悩み事でもあるのかな。
本当にそんな一瞬を捉えたように見えたんだ。
右上がASIMO。そこはかとない悲しみを感じさせるのはなぜ。
身体の拡張と倫理
ロボット工学とバイオ技術の進歩は人間の能力を高め、不治の病を克服することを可能にしつつあります。それは素晴らしいことですが、一方で、私たち人間が自身の身体をどこまで拡張、変容させて良いのか、という倫理上の問いも浮上しています。本セクションでは、人間にとって最も大きな関心の対象である身体に焦点を当てます。
出典:https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/future_art/04/index.html
《進化の核心?》エイミー・カール
3Dプリンターで制作した心臓は美しかった
《シュガーベイブ》ディムート・シュトレーベ
タンパク質による彫刻。フィンセント・ファン・ゴッホの子孫のDNA入り。
《わたしは人類》やくしまるえつこ
《「変容」シリーズ》アギ・ヘインズ
こちらは「体温調節皮膚形成手術」を施された新生児。
頭皮を引き延ばすことで頭部の面積が増え、地球温暖化が加速する中、より早い熱放散が可能になるという。
ほかにも親が子どもをデザインすることはどこまで許されるか?という課題を投げかける作品。
かわいらしい赤ちゃんであるはずなんだけど…。ほおぶくろがある。
《「再構造案」シリーズ》リー・シャン(李山)
目が唇。他にもヒトの部位が使われている。グロテスク。
《親族》パトリシア・ピッチニーニ
変容する社会と人間 〜 メモ・アクテン作品が投げかける眩暈
《オルタ1》東京大学 池上高志研究室(丸山典宏、升森 敦士、土井樹、池上高志)、大阪大学 石黒浩研究室(小川浩平、石黒浩)
最後に自分がもっとも興味を惹かれた作品が以下。
メモ・アクテンの「深い瞑想:60 分で見る、ほとんど 「すべて」の略史」。
作品説明にはこうあった。
日没、雄大な山々や深い森といった自然の風景などが、揺らめきながら緩やかに変化する映像とともに、神秘的で宗教的なサウンドが流れ、作品タイトルが示すように鑑賞者を深い瞑想へと誘います。見るものに自身の精神世界への没入を促すような神秘性を持っているとも言えるでしょう。しかし、画像は写真共有サイトFlickr上の(すべて)とタグ付けられた写真をニューラル・ネットワークに機械学習させ、その学習に基づいて人工知能が自動生成したものです。既視感がありつつも実在しない美しい自然なのです。8Kプロジェクターで投影された本作ではビックデータと言う人類史上類を見ない記憶装置を介して、個人の想像力によらずに人々の精神世界と結びつくイメージが可視化されています。
ゆっくりとだが少しずつ変容していく写真群を目にしていると、潜在意識を突かれているような錯覚を覚える。
今回は5分くらいしか鑑賞していなかったが、もっと長いこと見れる環境があれば、これは観る者はいわゆる「変性意識」状態に陥るのではないかな。
つまりトリップできるのではないかと思う。
ある時は神との邂逅を果たしたような至福の瞬間を味わったり、またある時は終わらない悪夢を見続けることになったり(笑)
360度映像シアターで見てみたい。
だがビッグデータをもとに人工知能が自動生成したこの作品が上のような作用を持ちうる、ということに空恐ろしさを感じてしまった。
「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命(その2)」レポートは以上です!
よかったら「その1」もどうぞ!
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そして、以下は、同時開催の「MAMコレクション011:横溝 静+松川朋奈―私たちが生きる、それぞれの時間」から。
松川朋奈の「良い母親になるってどういうことなのか、いまだにその意味を考える」。
油画である。
スーパーリアルな画風。一見、写真のように見える。
彼女の作品は以前「六本木クロッシング2016展:僕の身体(からだ)、あなたの声」で観て衝撃を受けた。
下記の記事でも書いたが、口語的なつぶやきと相まって、モデルとなっている女性のこころが観る者に沁みこんでくる。
1987年愛知生まれ。
彼女の描く男性はどんな風だろう。
見応えのある展覧会でした。
会期 2019.11.19(火)~ 2020.3.29(日)
会場 森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
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