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マンダラデザインアートブログのsachiです。
東京ステーションギャラリーで開催中の「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」展を観に行きました。
いわゆるアウトサイダー・アート。
彼が統合失調症で精神科病院に収容されていたときに生み出された、圧倒的な作品群に度肝を抜かれました。
アウトサイダー・アート/アール・ブリュットの芸術家として世界的に高く評価されながらも、日本ではほとんど知られていないアドルフ・ヴェルフリ[1864-1930]の、日本における初めての大規模な個展です。
スイスのベルン近郊に生まれ、孤独で悲惨な幼少期を送ったヴェルフリが絵を描き始めたのは、罪を犯し、精神科病院に収容されて数年後の35歳のとき。以後、病室で一心不乱に描き続け、生涯に描いた数は25,000ページ。余白を残さず、絵と文字と音符で埋め尽くされた作品はどれも、既存の芸術や美術教育の影響を受けることなく生み出された他に類をみない表現力と、奇想天外な物語性、そして音楽への情熱にあふれています。
出典:東京ステーションギャラリーサイト
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201704_adolfwolfli.html
出典:images.adolfwolfli.cz
こちらで拡大画像が見れます。
http://images.adolfwolfli.cz/big_A9243-77.jpg
どのようにしたらこのような作品を立て続けに生み出せるのだろう。。
夥しいイメージに溢れているけれどもその個々のモチーフには一定の法則性が見てとれる、そんな印象の彼の絵を見ながら考える。
頭の中にある、すでに完成されたイメージをアウトプットしていくのかな?
それとも描き始めるとそれらが勝手に増殖しちゃう感じかな?
病院側から与えられた鉛筆と色鉛筆を使って彼は、新聞用紙一面に独特の絵や文字や音符などを描き込んでいく。
ひとことで言うと、とてもチャーミングな絵だ。
でも同時に、神経に直接訴えかけてくるような、ちょっと不快でぞくぞくしたものをも感じさせる。
描き込みの豊饒さ。
過剰さ。
行き過ぎた感じ。
受け取った印象はそのようなものだ。
初期の作品は色鉛筆を与えられていなかったため、モノクロ。
色がない分、モチーフの形状ひとつひとつに目が行き、その面白さがよくわかった。
じっと見ていると、彼の頭の中に入り込んだような気がして、それは一旦迷い込むと容易には出られない世界のようなイメージで、少しこわくなった。
アドルフ・ヴェルフリ《ホテル‐シュテルン〔星〕》1905年
出典:東京ステーションギャラリーサイト
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201704_adolfwolfli.html
色鉛筆を与えられてからは極彩色といっていい感じのカラフルな絵を量産。
配色センスが本当に素晴らしい。
黄色、橙、赤、ピンクを使ったグラデーションも絶妙。
出典:images.adolfwolfli.cz
ネグロ・ホール
ストリキニーネ、牛乳、硫酸、ガソリン。食卓に着くヴェルフリ一家。
出典:http://www.adolfwoelfli.ch/content/uploads/52_copy3_lg.jpg
彼の自画像とされる男の顔が絵の中にいくつも描かれており、あちらからもこちらからも監視されているような恐怖感を観る者に与える。
回りで彼の自意識がぱちぱちしているような感じ。
偏執的な感じ。
その時の自分の頭の中の世界すべてを1枚の紙にアウトプットしている印象だ。
後期の作品には写真をコラージュしたものもあり、じょじょにデザイン的で、洗練された印象になっていくところがあった。それに伴い、自画像もどんどんすっきりとした良い顔になっていくのも面白かった。
ティチーノ州に於ける聖アドルフ2世の愛しいあなた
出典:http://d2jv9003bew7ag.cloudfront.net/uploads/Adolph-Wolfli-The-Sweetheart-of-St.-Adolf-II.-in-Canton-Ticino-1927.jpg
美術館でもらった「ヴェルフリの形態語彙」資料より
タイトルがまた考え抜かれている、というか薄っぺらではない。重い。。
作品名リストを見るだけでお腹いっぱいに…w
ヴォルドー病院
出典:
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/db/Waldau-Wolfli.jpg
おすすめです。
イマジネーションを刺激されました!
【会場】東京ステーションギャラリー
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