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マンダラデザインアートブログのsachiです。
昨年11月、国立新美術館にて開催された現代美術家大巻伸嗣氏の「真空のゆらぎ」展を観ました。
大巻は、現代社会がどのような歴史を経て今に至り、現在どのような問題を抱えているかを深く考察し、それをもとにインスタレーションの着想を得てきました。また、光と闇を重要な要素とする大巻の空間は、太陽のリズムとともに在るこの世界を象徴するかのような始原的な感覚を湛えています。この始原性とも関わるのが、大巻が好んで用いてきた繊細かつ濃厚な装飾的な造形です。人間は、自然を抽象化した文様を身近なものとすることで、自然に寄り添って生きてきたからです。大巻のインスタレーションは、現代社会に対する優れた批評である一方、人間に普遍的にそなわる根源的な造形志向を色濃く反映しているのです。
出典:https://www.nact.jp/exhibition_special/2023/ohmaki/
2015年に森美術館で大巻氏の作品をはじめて観て、その美しくも静謐な世界観に感じ入ったことを覚えています。
《リミナル・エアー スペース-タイム》2015年
Liminal Air Space—Time(リミナル・エアー スペース – タイム)
今回の《リミナル・エアー スペース-タイム》は、作品規模が森美術館の展示よりもずっと大きく、闇の中に置かれていました。
紗のような布が送風機から送られる風を受けて静かに舞い続けます。
あたりにはシューシューという装置の音しか響かず、それがまた幻想的。
まるで、夜の海を前に佇んでいるかのようでした。
少し怖くもあり、不思議と懐かしい感じもあり。
彼岸、という言葉が頭に浮かびました。
時を忘れていつまでもそこに立ち尽くしてしまいました。
Gravity and Grace
今回のメイン作品はこちら↓
シリーズで発表されている
Gravity and Grace表面の紋様はそこに生きる動植物。
ツボの形をした立体は地球で、強い光源がその中にあり揺れ動いています。
ドローイング
変わってこちらは水彩作品。
Linear Fluctuation(2019-2021)
コロナ禍で、家の窓から鬱々と外を見ていた時に描いた作品だとのこと。
何もできない自分のどうしようもない心情を、日記のように絵の具で紙に置いていたそう。
さまざまなサイズの作品が大きさの異なるフレームに収められ、ぎっちりとこのように隙間なく展示されているのを見たのは初めてかも。
リズムが感じられて面白かった。
影向(ようごう)の家のためのドローイング
こちらはドローイング。
オイルチョークや修正液を使っているとのこと。
越後妻有などの民家(廃屋?)を撮った写真をベースに、その家が持つ「気配」を描いた作品。
ちょっとゲルハルト・リヒターの絵画手法を思い出した。↓
大巻伸嗣氏が今回の作品について語っています。
《Liminal Air Space—Time 真空のゆらぎ》の様子も見れますよ。
↓
会期:~
会場:国立新美術館 企画展示室2E
〒106-8558東京都港区六本木7-22-2
主催:国立新美術館、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
観覧料:無料
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