夢心地!眠り展:アートと生きること @東京国立近代美術館

眠り展アート
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竹橋の東京国立近代美術館「眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで」を観てきました。

 

眠り展
「眠り展」フライヤーとチケット、リーフレット。おだやかで上品な色味。たゆたうようなフォントが印象的。

 

眠り。それは、自分の大好きな娯楽。
夢かうつつか。
小説などを読んでいても、そんな感じの境地に惹かれてしまいます。

ステイホームで眠る時間が増えた、って人も多いのでは?

さて各芸術ジャンルでは「眠り」はどのように表現されるのでしょうか。

 

* 新型コロナ対策として、来館日時をあらかじめ予約できるとのことで、空いていそうな時間帯を選んで出かけました。
(予約したのは12:00きっかり。それほど混んではいませんでした。見終わる頃には入り口に行列ができていたので正解だったかも)

 入場前には要検温です!

 

眠り展
眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで

 

眠ることの快楽

「眠り」は、人々にとって生きていく上で欠かせないだけでなく、芸術家たちの創造を駆り立ててもきました。本展では、国立美術館所蔵の絵画、版画、素描、写真、立体、映像など、幅広いジャンルの作品約120点によって、「眠り」がいかに表現されてきたか、それが私たちに投げかけるものは何かを探ります。

出典:https://www.momat.go.jp/am/exhibition/sleeping/

 

当初、「眠り展」は東京オリンピックの閉幕後に開催される予定だったらしい。
オリンピックという非日常を終わらせたのち、再び日常の中で繰り返される「眠り」をテーマとする企画だったのだそうだ。
祭りを終えた後に必要不可欠なエネルギーチャージ期間としての休息、という意味もあるのかも。

 

 

眠り展

眠り展

 

入場口と入ってすぐのボード。
フライヤーやチケットにも見られた、揺蕩うような文字とデザインが会場内を夢見心地に演出。
ドレープたっぷりのカーテンみたいで気持ちが良い。

グラフィックデザインはAFFORDANCEの平野篤史氏。

ぼんやり見ていると意識が遠のくような、本当に眠たくなる感じだった。
フォントがほんとにかわいいな。
支離滅裂な夢の中にこんな文字が現れそう。。

 

 

そして見てくれ。
早々にずらりと並ぶ、彼ら彼女らの見事な眠りっぷりを!

 

眠り展
ペーテル・パウル・ルーベンス《眠る二人の子供》

 

眠り展
藤田嗣治《横たわる裸婦》

 

眠り展
ニコラ・ランクレ《眠る羊飼い女》

 

眠り展

 

!!!

ああなんて気持ち良さそうなんだ…!
自分も早く帰って寝たい 笑

ひとが気持ちよさそうに寝ているのを見るのも快楽だなぁ。

 

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大好きな境地!夢かうつつか

眠り展

 

それにしても、眠るって本当に不思議な行為であり、レジャーだ。
夢という不思議なところにアクセスできる魅力もある。
しかも夢って大抵大げさで、心に強く引っかかる。
インスピレーションの源泉。
芸術家達が夢に惹かれるのは当然だ。

 

 

眠り展
オディロン・ルドン「ゴヤ讚」より《夢の中で私は空に神秘の顔を見た》

 

 

 

眠り展
楢橋朝子《「half awake and half asleep in the water」シリーズより Notojima, 2005》

 

眠り展楢橋朝子《「half awake and half asleep in the water」シリーズより Yamanakako, 2004》

 

 

「half awake and half asleep in the water」

水の中で半ば起きて半ば眠ってる 夢か現か。。

その境地を表現する作品群である。
たぷたぷたぷ。想像するだけであたまが朦朧としてくる。
小学校のプールの授業の時、水の中に潜るとどこか違う場所に行ったように感じたことを思い出した。

 

 

 

 

眠り展
饒加恩(ジャオ・チアエン)《レム睡眠》

 

こちらはビデオインスタレーション。

映っているのは台湾で働く外国人労働者。眠っているかと思えばおもむろに目を開き、今見ていた夢の内容をぼそぼそと語り出す。しばらく話すとまた目を閉じて夢の中に帰ってしまう。

夢で見る出来事というのは、昨今のオンラインでの体験ととてもよく似ていると思った。
からだは動かさぬまま、インターネットでバーチャルツアーに参加したり、オンラインで誰かと交流してみたり。テクノロジーが進歩した今だからこそ、感じることだ。
でも昔の人にとってはバーチャルって夢一択。しかも夢を見るには機材や装置も必要ない。それこそ一大レジャーだったのではないかな?笑

夢と現実を行き来しながら静かな声で話す彼女らの声がまるで子守唄のようで、またまた眠くなったのでした。

 

 

生きていることのかなしみ

眠り展

 

 

眠り展
小林孝亘《Pillows》

 

 

 

眠り展
内藤礼《死者のための枕》

 

内藤礼の作品はどれも静謐なイメージがある。
生も死も突き抜けたところをイメージさせるような印象の作品が多い。

こちらはシルクオーガンジーを使った小さな作品。

 

内藤礼といえば瀬戸内芸術祭で見た、豊島美術館「母型」が素晴らしかった。

 

 

 

 

眠り展
荒川修作《抗生物質と子音にはさまれたアインシュタイン》

 

荒川修作のちょっとグロテスクな作品。
タイトルがまた摩訶不思議。

 

荒川修作といえば、やはりこちらである!

 

 

 


堂本右美《Kanashi-11》

 

ぱっと見て惹きつけられた大きな作品。

油彩である。写真かと思ってしまうほどグラデーションが美しい。

 

 

《落ちる砂》という塩田千春のビデオインスタレーションもとてもよかった。

 

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眠りというイマジネーション

眠り展

 

 

眠り展
森村泰昌《なにものかへのレクイエム》

 

森村泰昌はビデオインスタレーションも展示。

《烈火の季節/なにものかへのレクイエム》というタイトルで、三島由紀夫の市ヶ谷駐屯地での演説を彷彿とさせるもの。三島に扮した森村が芸術の衰退を嘆いてみせる。だが耳を傾けるものは誰もいないという7分のビデオ。

 

 

眠り展

眠り展
河口龍夫《関係ー種子、土、水、空気》

 

眠り展
河原温存在の証しとしての眠り

 

河原温は、自宅やホテルの一室にこもりその日の日付をキャンバスに描く作品で内外に広く知られる。本物を見れて感無量だった。

優れた美術作品に囲まれて、豊かな気持ちになった日でした。

皆さまもどうか良い眠りを!

 

会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
会期:2020年11月25日(水)~ 2021年2月23日(火・祝)
開館時間:10:00-17:00 *入館は閉館30分前まで
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