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マンダラデザインアートブログのsachiです。
東京・汐留のパナソニック汐留美術館で「ポール・ケアホルム展 時代を超えたミニマリズム」展を観ました。
ポール・ケアホルム(Poul Kjærholm 1929-1980)はデンマークを代表する家具デザイナー。
1950年〜70年代にかけて活動しました。
建築家の田根剛氏が会場構成を担当、椅子研究家である織田憲嗣氏が収集したポール・ケアホルムデザインのコレクション約50点が展示されました。
日本初の本格的な展覧会だとのこと。
余計な装飾のない、作品だけを間近で鑑賞できる良い展示でした。
コペンハーゲンのデンマーク美術工芸学校で学び、家具職人として修練を積んだポール・ケアホルムは、建築素材——とりわけスチール——に強い関心を持っていました。スチールは、木などの天然素材と同様に芸術的な敬意に値する素材であるとケアホルムは考えていたのです。
(中略)
ケアホルムが他界した2年後、ケアホルムの管財人は故人が1951年から1967年にかけて手がけた「ケアホルム・コレクション」の製造と販売をフリッツ・ハンセンに委ねました。
出典:https://www.fritzhansen.com/ja/inspiration/designers/poul-kjaerholm
以下画像の出典すべて(冒頭アイキャッチ画像も):https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/24/240629/
↓
ポール・ケアホルム《エレメントチェア(PK 25)》 1951年 スチール、フラッグハリアード
織田コレクション/北海道東川町蔵 撮影:大塚友記憲
上のPK25は、ポール・ケアホルムのデンマーク美術工芸学校での卒業制作だとのこと。
ケアホルムは木工家具製作のマイスターの資格を取得することから出発しましたが、コペンハーゲン美術工芸学校でインダストリアルデザインを学び、当時の工業材料にも関心を持ちます。その過程で、スチールを用いた、後の代表作につながるプロトタイプを生み出しました。
出典:https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/24/240629/
ポール・ケアホルム《PK 0》 1952年 成型合板(塗装)
織田コレクション/北海道東川町蔵 撮影:大塚友記憲
2枚の成型合板のみでつくられている。すごい。美しい。
ポール・ケアホルム《PK 9》 1960年 スチール、革
織田コレクション/北海道東川町蔵 撮影:大塚友記憲
デンマークの椅子は3本足のものが多いらしい。
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また、国立新美術館で自分がよく座らせていただいている黒くて長いソファ。
あれはケアホルムのPK80であったことがわかった。
#新美tips
皆様におくつろぎいただけるよう、新美では館内の様々な場所に椅子を設置しています。
こちらは世界各地の美術館などで使用されている、ポール・ケアホルムのデザインの「PK80」ベンチです。
展覧会鑑賞の合い間にぜひこちらでひと休みしてはいかがでしょう。 pic.twitter.com/2HR0svlxr6— 国立新美術館 National Art Center, Tokyo (@NACT_PR) December 14, 2018
撮影可能のスペース。素敵だった。
椅子デザインの素描も展示されていました。
ところで、ケアホルムについては以下の逸話もあることを知りました。
同時代の同じくデンマーク出身、ヴェルナー・パントンとの出来事。
フリッツ・ハンセン、ルイス・ポールセン、ヴィトラなどと協働で、家具や照明など数多くのプロダクトデザインを生み出したパントン。彼の才能はまた、エキシビジョンの空間デザインなどでも発揮されました。そんな彼に、1967年、ひとつの騒動が持ち上がります。世界初のプラスチック一体成型のチェアとして彼がデザインしヴィトラから発売された「パントンチェア」について、ポール・ケアホルムが自身の作品の盗作であると主張したのです。それに対し、パントンは反論せず、いまだにその真偽は定かではありません。パントンとケアホルム。世界に名を馳せる2人のデザイナーの間にあった遺恨は、歴史的名作への興味を惹かれる逸話です。
出典:https://fremtiden.jp/reading/design-07/
「パントンチェア」出典:https://flymee.jp/
パントンは大好きなデザイナーなので気になるところではありました。
さて、展示場内のルオー・ギャラリーでは、実際にケアホルムの椅子に座ることができました。
ルオーの作品を鑑賞しながら、ケアホルムの椅子の座り心地を楽しむ。
まあちょっとした椅子取りゲーム状態になっていましたが笑、とても良い空間でした。
会期:2024年6月29日(土)〜 9月16日(月・祝)
開館時間:午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
※7月5日(金)、8月2日(金)、9月6日(金)、13日(金)、14日(土)は夜間開館 午後8時まで開館(入館は午後7時30分まで)
休館日:水曜日(ただし9月11日(水)は開館)8月13日(火)〜16日(金)
入館料:一般:1,200円、65歳以上:1,100円、大学生・高校生:700円、中学生以下:無料
主催:パナソニック汐留美術館、東京新聞
後援:デンマーク王国大使館、港区教育委員会
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