映画

映像

「VISION 」河瀬直美監督

音楽(効果音)が流れるようなことはほとんどない作品。代わりに、森のざわめきが始終響いている。 その音色にはたいてい大勢のひとの声(のようなもの)が混じっている。それを耳にするだけでなぜか全身に鳥肌が立つ。そして、溢れる光。映し撮っている対象物さえ見えないほどの光量。見ている自分が消えてしまいそうになる感覚のある映像
アート

ひとつひとつが夢のように美しい セルゲイ・パラジャーノフ監督「ざくろの色」

「余りにきれいなので泣ける」「ストーリーもセリフもほとんどない。カメラも動かない。聴き慣れない民族音楽が流れ、見たことのないような、鮮やかな色や形が、絵画のように風景から切り取られて、次々と現れては消えて行く。一つひとつが夢のように美しい」
映像

河瀬直美監督作品「あん」

秀逸だったのは、樹木希林演じる徳江がどら焼きのあんを作るシーン。暗くちっぽけな厨房で彼女は、あずきの入った鍋をのぞき込んでいる。その横顔の輪郭だけにカメラのピントは合い、それ以外はまろやかにぼけている。彼女の立つガス台のかたわらにささやかなガラス戸があり、その向こう側には柔らかな春の日差しが広がっている。ほぼ逆光。
アート

極彩色の世界観『パコと魔法の絵本』中島哲也監督 が好き

オープニングからエンディングまでひたすら目の覚めるような極彩色。好きな人にはたまらない色彩の洪水。前作よりもCGを多く使っているが、これがまた実写とうまく共存しているのだ。CGの色味のどぎつさと同じくらい、実写も毒々しい色色色。それでも全体としてきちんとしたまとまりを見せている。
文学

是枝裕和監督『歩いても歩いても』で描かれる実家というしがらみ

ある年代以上ならば、かならず思い当たることのある「実家」「血のつながり」に対する重い感情や、よきにつけ悪しきにつけ逃れることのできない、しがらみといったものを丹念に描いた作品。
文学

『バベル』/ アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督

場所と時間軸がめまぐるしく入替わる手法をとり(編集の若干の粗さは感じた)、立体的な世界観を演出する。前作の『21グラム』も同様だった。さまざまな事件や悲劇は起こるけれども、いわゆる悪人は一人も出てこない。
映画

煌びやかな世界観『嫌われ松子の一生』中島哲也監督 が素晴らしい

ストーリーの緩急も気持ちよかった。終盤の松子の死以降の映像は秀逸である。 松子のおいが踏み混んだ彼女の臨死の境地を、我々も共に体感する。カメラワークがすごい。まるで魂になってあちらこちらに瞬間移動するように、時間も空間も超越して跳んでいく。景色、情景も既視感を感じるような色味で成り立っている。浮遊感は延々と続く。
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