BOOKS

文学

『 エッジ 上・下 』 鈴木光司 著

テーマ自体はとても興味深く、著者がさまざまなジャンルの知識 を駆使して書いていると感じさせる。 2012年のアセンションをテーマに、多様なしかけを用いて ストーリーを構築・展開し、著者なりの解釈をはっきりと提示して いる作品である。
アート

『犬身』松浦理英子 著

分厚い本であるにもかかわらず、一気に読まされた。 すごく面白かった。犬好きの人間が犬になりたいと願い、ついにはそれが叶って本当に犬になってしまう、というところから物語は始まる。 奇想天外な設定ながら、そこから展開していく内容には深い思索が込められていて、小説という世界の力を感じた。
アート

考察 石田徹也~僕達の自画像展~@練馬区立美術館

彼の作品を前にして、心動かされない人がいるだろうか。 ほとんどの作品には作家自身と思われるうつろな目をした短髪の男性が登場する。彼は、現代を生きるわたしたちの分身でもある。その作品の中にわたしたちは、自分との共通項を容易に見出すことができるのだ。
アート

ARTS & CRAFTS「生活と芸術―アーツ&クラフツ展」 ウィリアム・モリスから民芸まで @ 東京都美術館

アーツ&クラフツとは、19世紀後半にイギリスで興ったデザイン運動。手仕事の良さを見直し、自然や伝統に美を再発見し、シンプルなライフスタイルを提案することを志していた。今回の企画展は、ウィリアム・モリスを中心とするイギリス、ウィーン工房がひときわ輝いたヨーロッパ、そして民芸運動が花開いた日本での美しい作品などからたどるというもの。
アート

『チャロー!インディア』インド美術の新時代

インドの現代美術については何の知識もなかった。 ひとりのアーティストも知らないし、どんな作品が作られているのかも知らない。 だがきっと活力を得られることだろうと、浮き立つ気持ちで出かけた。
文学

『蜻蛉玉』 内田百閒

作者と思われる語り手が、ある時友人から蜻蛉玉を一つ もらった。 台湾のもので、大きさは小指の先ほど。鮮やかな青磁色に 白いすじが走った球である。 「私」は真ん中にあいた細い穴に白い絹糸を通して球を 吊るし、床脇の額の釘に特に理由もないままぶら下げて おいた。
文学

小池真理子の『ストロベリー・フィールズ』

主人公の女医・夏子を慕う平岡旬が腹を切って自殺未遂 をした。 11月25日の第369話。 三島由紀夫が割腹自殺をした憂国忌、その日である。 それはきっと、小池の三島へのオマージュ。 密やかだけど、カッコいいな。
文学

時空を超えた最上級の愛情表現『シズコさん』佐野洋子著

壮絶であった。すべてさらけ出して、まっ裸になって自分と母親、そして家族のことを描き出している。全編にわたり、死ぬ前に何が何でも描いておかなくては、というような気迫にあふれている。とくに母親が呆けてからの最終章は凄まじかった。
アート

100% ノーベル賞 week 2008 ~ 神はサイコロを振るか

これは一般の人向けの読み物である。 タイトルが固すぎるのでとっつきにくいかもしれないとは思う。でもせっかくのノーベル賞 week。 こんな本をきっかけにサイエンスの秋はいかがですか。
文学

『重力ピエロ』伊坂幸太郎著

『死神の精度』を読んだときは、新しい才能との出会いに驚愕した。 あちらこちらに仕掛けられた伏線、そしてそれらの見事な展開。 この人の製作ノートを見てみたい、SE出身なのできっと精巧なフローチャートのような形式なのではないか、と考えたりした。
アート

『死後体験』坂本政道 著

著者の死に対する強い好奇心から始まった、死への探究の旅。 モンロー研究所の音響技法・ヘミシンクを用いた体験の報告では、死後の世界のようす、死者の意識のありよう、ハイヤー・セルフやトータル・セルフとの出会いなどが詳細に記されている。
アート

『AMEBIC』金原ひとみ著

彼女に関しては文学の資質はもちろん、その美的感覚に粋なものを感じる。主題そのもののチョイス、物語の展開の仕方、文章のリズム、言葉の選び方、さらにはちょっとした諧謔味などに小手先だけでは果たせない才能を感じてしまう。ことの運び方がスマートなのだ。読む快感を感じさせるのは、町田康と通ずるのかも。
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