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マンダラデザインアートブログのsachiです。
東京都美術館に、「ハマスホイとデンマーク絵画」展を観に行きました。
北欧のフェルメール ハマスホイ
ハマスホイという画家は聞いたこともなかったけれど、“北欧のフェルメール”というキャッチコピーが気になり、フライヤーに出ている絵もとてもきれいだったのでいそいそと出かけました。
フライヤーは2種類あり、いますぐにでも実物を見に行きたくなるような瀟洒な作り。
おうち大好き「室内画家」ハマスホイ
身近な人物の肖像、風景、そして静まりかえった室内――限られた主題を黙々と描いたデンマークを代表する画家ヴィルヘルム・ハマスホイ(1864-1916)。17世紀オランダ風俗画の影響が認められることから “北欧のフェルメール” とも呼ばれるハマスホイの作品は、西洋美術の古典を想起させる空気を纏いつつ、近代の都市生活者特有の、ある種の郷愁を感じさせます。
出典:
https://www.tobikan.jp/exhibition/2019_hammershoi.html
上の文中、
「近代の都市生活者特有の、ある種の郷愁」…
なるほどと思った。
自分が宮廷や位の高い人などが出てくるようないわゆる古典的な絵画には惹かれないのに、なぜこういった雰囲気のものには親しみを感じ、もっと見たいと思うのか?
そう、モチーフが身近だから。
おうち大好き。室内だいすき。おしゃれな調度品だいすき。
きれいでスッキリしたインテリアをもっと見たい。
ハマスホイは後年、コペンハーゲンの同じアパートに長く住み、その中で色々な部屋を角度を変えて描いてみたり、家具を動かしてはまた描いてみたり、などしながら、ずっとその家の中を描き続けたんだって。
「限られた主題を黙々と」…
おうち大好き「室内画家」、ハマスホイ。
なんとなーくシンパシーを感じてしまう。
今回の見どころは、
2. 日本初の本格的デンマーク絵画展!
3. デンマーク文化“ヒュゲ”に触れる!
だとのこと。
そうそう。最近耳にすることも多い、「ヒュゲ」(hygge :くつろいだ、心地よい雰囲気)。
デンマーク人が大切にしている価値観で、美しい自然や家族とくつろぐことを意味するのだとのこと。とてもよいと思う。
「日常礼賛」という言葉が展示の中で何度か出てきたけど、まさしくそれ!
実に気持ちよく鑑賞できたのだった。
ヒュゲの真髄
写真撮影は不可だったので、公式サイトの画像をお借りしながら、以下何点かの感想を書こうと思う。
画像出典:
https://artexhibition.jp/denmark2020/structure/
ヴィゴ・ヨハンスン《きよしこの夜》 1891年
古き良き大家族の、落ち着いた温かな一コマ。渋い色味やアンティークな感じがよい。アメリカのノーマンロックウェルの絵を思い出した。
そして、下が全展示の中で最も好きだった作品。
ハマスホイの妻の兄、つまりハマスホイの義兄のピーダ・イルステズによるもの。
ピーダ・イルステズ《縫物をする少女》1898-1902年
とにかく少女(ピーダの娘)が可愛らしい!
顔はよく見えないが、束ねた髪が透き通るように清らかで、ワンピースの青色も愛らしい。
縫い物をしているらしい健気な横顔。
抱きかかえられ、椅子に載せられ、ここでこうやって座っててね、と言われたのだろう。
床についていない足の黒タイツの愛らしさ。。
ちょっとしたやらされてる感も仄見えるが、可愛いので全然気にならない。
開いている窓の外は初夏かしら。
壁にかかっている額縁がおしゃれだな。
机の上のつやが美しい。
ぽつんと置いてある花瓶にわざとらしさを感じないでもないが、バランス第一!構図がこれ以上ないほどに素晴らしいから問題なし。
作り込み全然オッケー!
その他、ピーダの「ピアノに向かう少女」(これまた娘)や「アンズダケの下ごしらえをする若い女性」(多分奥さん)もよかった。
ハマスホイ義兄も「おうち大好き」全開。
温かな完璧主義者 ハマスホイ
そして、ハマスホイ。
ヴィルヘルム・ハマスホイ《室内》1898年
印象としてはセピアとかモノクロに近い静かなもの。
けれどもとても温かく、満たされたイメージがある。
窓からの光の入り方は、やはりフェルメールを想起させた。
そして構図がとてもよい。
相当計算されて調度なども置かれているよね。テーブルにかかる白いクロスの折皺の位置だとか、カーテンの見える分量だとか、後ろ姿の女性の首の角度だとか。
ハマスホイ、モデルに立ってもらう前に相当な微調整をしたのではないかな。
首を傾げて、んー。あと1センチ右かな?とか言いながら花瓶をちょいと動かしてはまた立ち位置に戻ったり。
その他、その前に長いこと立ち尽くしてしまうような引力のある作品が多かった。
帰りに図録などを求めにミュージアムショップに行きました。
ポストカードの発色が作品に非常に近く、厚手の上質なものだった。
グッズもハイセンスなものが多かったです。
宛名面まで美しい!
見に行って本当によかったです!
これから混雑が予想されるので是非早めのうちに。
3月26日まで。
会期 2020年1月21日(火)~3月26日(木)
会場 東京都美術館 企画展示室
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