デイルチフーリ作品を観に。富山市ガラス美術館が素晴らしい!
文学
「アジアにめざめたら」東京国立近代美術館
「アジアにめざめたら」@東京国立近代美術館に行きました。
「心をつなぐあたたかな色 柿本幸造の絵本の世界」と『どうぞのいす』
最初の印象はとてつもなくかわいい。やさしい。なつかしい。 そして、おしゃれ! 色もきれいだし、絵本なのに変な表現だけど、洗練されているなぁと思った。 ものすごくデザイン性が高いと思った。
『まばたき』穂村弘 作 酒井駒子 絵
とるに取らない一瞬にも「永遠」がきちんと織り込まれている。そんなことを思った作品。 その一瞬だけで成り立つような単純な時間というのはおそらくあり得ず、すべての瞬間が美しい絹織物のように複雑に絡み合い世界を宇宙を構成している、と。
ヘヴン / 川上未映子 著
丁寧に書かれているとは思う。 だが、物語の流れのいっさいが、おかしな言い方かもしれないが、物語じしんの想定する範囲内にきっちりと収まってしまっている。 あらゆる場面で既知感があるとも思った。 同様にいじめを受ける女生徒のコジマに誘われ、電車を乗り継いで彼が連れていかれた「ヘヴン」についても、ひっぱって期待させたわりにはありきたりでがっかりした。
『なぜ僕は「悪魔」と呼ばれた少年を助けようとしたのか』今枝仁 著
地獄というものはひとが作り出すのだなあ、と改めて思う。 それも、本人の意図せぬままに、例えばある出来事をきっかけにして悪循環にはまり込み、事がスパイラル上に堕ちていき、気づいたときにはすでに手のつけられない状況になってしまっている、という図式が圧倒的に多いのだろうと思う。 そして、誰もがそうなる可能性を持っている。
ミスター残像 かく語りき
自分でも認識していなかった光の源を、からだサイドがきちんと記憶していた。かたちやその位置関係までを正確に。 そして、頼んでもいないのにほんとうの姿を知らせてくれた。 目の裏の残像という形で。
盆栽を始めるとき~『無趣味のすすめ』/ 村上龍 著
この部分がこの本のすべてなのだと自分は思う。 さらりと書かれているが、めちゃくちゃ練られた数行だ。
『夏の庭 』 湯本香樹実 著
長く生きていると(大人であれば)分かってくるさまざまな事柄を、子どもの目線でまっすぐにとらえ表現していて、みずみずしい印象。 大人が読んでいても気持ちが良い作品だった。 そういうのっていいな。 読む世代によって、受け取り方が少しずつ違ってくるという作品。
『 エッジ 上・下 』 鈴木光司 著
テーマ自体はとても興味深く、著者がさまざまなジャンルの知識 を駆使して書いていると感じさせる。 2012年のアセンションをテーマに、多様なしかけを用いて ストーリーを構築・展開し、著者なりの解釈をはっきりと提示して いる作品である。
『犬身』松浦理英子 著
分厚い本であるにもかかわらず、一気に読まされた。 すごく面白かった。犬好きの人間が犬になりたいと願い、ついにはそれが叶って本当に犬になってしまう、というところから物語は始まる。 奇想天外な設定ながら、そこから展開していく内容には深い思索が込められていて、小説という世界の力を感じた。
『蜻蛉玉』 内田百閒
作者と思われる語り手が、ある時友人から蜻蛉玉を一つ もらった。 台湾のもので、大きさは小指の先ほど。鮮やかな青磁色に 白いすじが走った球である。 「私」は真ん中にあいた細い穴に白い絹糸を通して球を 吊るし、床脇の額の釘に特に理由もないままぶら下げて おいた。
小池真理子の『ストロベリー・フィールズ』
主人公の女医・夏子を慕う平岡旬が腹を切って自殺未遂 をした。 11月25日の第369話。 三島由紀夫が割腹自殺をした憂国忌、その日である。 それはきっと、小池の三島へのオマージュ。 密やかだけど、カッコいいな。