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マンダラデザインアートブログのsachiです。
金原ひとみは『蛇にピアス』についで、二冊目。
彼女に関しては文学の資質はもちろん、その美的感覚に粋なものを感じる。
主題そのもののチョイス、物語の展開の仕方、文章のリズム、言葉の選び方、さらにはちょっとした諧謔味などに小手先だけでは果たせない才能を感じてしまう。
ことの運び方がスマートなのだ。
読む快感を感じさせるのは、町田康と通ずるのかも。(読んだことないけどw)
確かな審美眼が備わっている作家である。
加えて、描写にかける執念をも感じさせる。
本人にとってはするすると出てきている言葉を綴っているだけなのかもしれないが、読んでいてその表現の妙に何度も感嘆した。なるほどそうきたか、と。
「錯文」の挿入も効果的。自分にはあの感覚がよく理解できるので、理解できない「彼」との会話にも感心した。
台詞のセンスがまたnice!
客観的な視点もきちんと持ち合わせていて、ひとりよがりになど到底なったりはしない。
若いのに成熟した文学的資質。
これだけ深いことを描写しながら「破綻」せずにまとめあげるのは相当の力量だと思う。
推敲に推敲を重ねたのだろう。
お薦めの一冊でございます。
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