「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館アート
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坂本龍一|音を視る 時を聴く」を観に、東京都現代美術館に行ってきました。

「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

美術館1階ロビーのガラス窓から差し込む光が展覧会ボードに映じ、厳かな絵のように見えました。
自分が行った1月初めは入場前に並ぶほどではありませんでした。
2025年2月末現在、会場は非常に混雑している模様です(入場まで80分待ちという声も!)。

 

東京都現代美術館では、このたび音楽家・アーティスト、坂本龍一(1952-2023)の大型インスタレーション作品を包括的に紹介する、日本では初となる最大規模の個展「坂本龍一|音を視る 時を聴く」を開催いたします。
坂本は50年以上に渡り、多彩な表現活動を通して、時代の先端を常に切りひらいてきました。90年代からはマルチメディアを駆使したライブパフォーマンスを展開し、さらに2000年代以降は、さまざまなアーティストとの協働を通して、音を展示空間に立体的に設置する試みを積極的に思考、実践しました。(中略)
坂本龍一の「音を視る、時を聴く」ことは、鑑賞者の目と耳を開きながら、心を揺さぶり、従来の音楽鑑賞や美術鑑賞とは異なる体験を生み出します。坂本が追求し続けた「音を空間に設置する」という芸術的挑戦と、「時間とは何か」という深い問いかけは、時代や空間を超えて、私たちに新たな視座をもたらし、創造と体験の地平を開き続けてくれることでしょう。

出典:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/

 

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館
展覧会フライヤーと舞台作品《TIME》のパンフレット

 

展示内容は以下の通り。

■企画展示室 1階
坂本龍一+高谷史郎《TIME TIME》2024 (新作)
坂本龍一+高谷史郎《water state 1》2013
坂本龍一 with 高谷史郎《IS YOUR TIME》2017/2024
カールステン・ニコライ《PHOSPHENES》《ENDO EXO》2024(新作)音楽:坂本龍一
■企画展示室 地下2階
坂本龍一+アピチャッポン・ウィーラセタクン《async–first light》2017
アピチャッポン・ウィーラセタクン《Durmiente》2021 (日本初公開)
坂本龍一+高谷史郎《async–immersion tokyo》2024
坂本龍一+Zakkubalan《async–volume》2017
坂本龍一+高谷史郎《LIFE–fluid, invisible, inaudible…》2007
*アーカイブ特別展示:1996–97年のパフォーマンスを再現した新作インスタレーション
坂本龍一×岩井俊雄《Music Plays Images X Images Play Music》1996–1997/2024(初公開)
■中庭(1階/屋外)
坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ 2024–不可視、不可聴 (MOT version)》2024
■サンクン・ガーデン(地下2階/屋外)*スペシャル・コラボレーション
坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎《LIFE–WELL TOKYO》霧の彫刻 #47662 2024(新作)

出典:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/

高谷史郎氏との共作5点を軸に展開された、「坂本龍一|音を視る 時を聴く」展。

作品のメッセージが深層意識まで届いてくるような展示内容。
観終わった後の印象として、闇の中の美しい迷宮を辿ったような気分でした。
(チケットは2,400円だが、その倍以上の価値があると思いました)

坂本龍一+高谷史郎《TIME TIME》2024 (新作)

入場してすぐ真正面の部屋に、3つのスクリーン。

時間とは何か?をテーマに作られた作品。
《TIME TIME》は、2021年に上映された舞台作品《TIME》を元にしたインスタレーション
坂本の生前の構想をベースにして、この展覧会に合わせて制作されたとのこと。《TIME》と《TIME TIME》は、本来不可分なものとして考えられてきたという。

 

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館
夏目漱石の『夢十夜』より「第一夜」

 

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館
『荘子』より「胡蝶之夢」

 

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館
感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館
舞台作品《TIME》で出演していた田中泯(↑上写真)は、自然を支配しようとする「人間」を表し、宮田まゆみ(↓下写真)と彼女が奏でる笙の音、そして舞台上の水は「自然」を象徴している。

 

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館
感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館
この波の砕けるスローモーション映像に、尺八の響きが重なる。すごい迫力だった。
時間の概念や、時間の存在そのものを問い直す、という試み。
13の場面がランダムに映し出される。
始まりも終わりもなく、夢と現実・この世とあの世を行ったり来たり、といったイメージだった。
(実際、インスタレーションの映像は入った時点から見るので、どこが始まりで終わりなのか分からないというのもあった。実際の始まりは、漱石の『夢十夜』)

 

2024年の春に自分は、元となった舞台作品《TIME》を新国立劇場で観た。
坂本氏本人はこれを能の影響を受けた音楽劇と表現していた。

泯さん演じる人類はどうにかして水、つまり自然を征服しようと試みるものの、最後には大洪水に呑み込まれ、死んでしまいます。ぼくは人類と自然にまつわる神話を描いてみたかったのでした。

《TIME》パンフレットより 坂本龍一メッセージ
感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館
感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館
病を得たことをきっかけに生まれた、「同期」への懐疑から「絶対時間」の否定。東日本大震災を通じて改めて確認した「人間は自然に抗うことはできない」という不動の事実。そして、「時間は幻想である」とのメッセージを込めるために坂本が選んだテキストは、夏目漱石の『夢十夜』より「第一夜」、能楽より『邯鄲』、『荘子』より「胡蝶之夢」。
《TIME》パンフレットより
東日本大震災の被災地へも足繁く通い、心を砕き、こころのこもった支援を重ねてきた坂本氏。
それらの活動が、このストーリーの核となる部分にインスピレーションを吹き込んだことは想像にかたくない。

坂本龍一+高谷史郎《water state 1》2013

絶えず音は鳴っているが、静けさを感じる作品。

water state = 水の様態。

この作品は、2013年に山口情報芸術センターで初めて展示された。
坂本氏はかねてから水を素材として作品にしたいと望んでいたものの、困難な問題が多かったらしい。しかし、YCAM InterLab が大量の水滴を自在に落下させることができる装置を開発し、作品化されたとのことだった。

気象衛星の全球画像から、展覧会の開催場所(今回は東京)を含む地域の降水量のデータを抽出し、1年ごとに凝縮したデータを用いて天井に設置された装置から水盤内に雨を降らせる。同時に、水滴が水盤に作り出す波紋の変化は音に変換され、時間の経過に合わせて照明と共に微妙に変化していく。

展示ボード解説より
この黒い水盤を取り囲むようにして、周りに大きな石がいくつも配置されていた。
坂本氏が学生の頃から好きだったという李禹煥(リー・ウーファン)の作品が思い出される。
坂本龍一は藝大在籍中も、音楽学部にいるよりも美術の方に顔を出していることが多かったという。現代美術に強い興味を持っており、なかでも「もの派」といわれた芸術活動の中心人物・李禹煥氏を尊敬していたとのこと。
感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

坂本龍一最後のアルバム『12』は、2023年1月17日にcommmonsから発売。
ジャケットは、李禹煥氏の書き下ろしドローイングである。
坂本氏は亡くなる前日、家族に希望して病室のベッド正面にこの絵の原画を飾ったのだそうだ。(「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」坂本龍一より)
この絵を見ながらこの世を去ったのかと思ったら、彼の人生を象徴するような逸話だなぁと思った。
同じ状況で自分なら何を掲げるだろう?色々と考えさせられた。

坂本龍一 with 高谷史郎《IS YOUR TIME》2017/2024

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館
感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館
ピアノの上のスクリーンには、静かに雪が舞う映像。
下には水盤。

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

坂本が2011年の東日本大震災の津波で被災した宮城県農業高等学校のピアノに出会い、それを「自然によって調律されたピアノ」と捉え作品化した《IS YOUR TIME》(2017/2024)。大自然の営みによって一つのモノに還ったピアノが世界各地の地震データを使って、地球を鳴動する装置として生まれ変わる。

展示ボード解説より

 

2017年に展示された本作品では、坂本のアルバム『async』からアレンジした曲をピアノの音とともに鳴り響かせていたという。

けれども今回の東京都現代美術館での展示構想の初期から、坂本本人がこの津波で被災したピアノだけをシンプルに展示したいと考え、『async』の要素を取り払ったとのこと。

 

大自然の営みによって、人の手で整えられた音楽を奏でる楽器としての機能と役目を失い、「モノ」に還ったピアノが、空と海の間(あわい)で地球の鳴動を奏でる。

展示ボード解説より

 

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カールステン・ニコライ《PHOSPHENES》《ENDO EXO》2024(新作)音楽:坂本龍一

カールステン・ニコライは、自然界の事象や科学、哲学などの多様なテーマを視覚表現やサウンドを通して複合的に作品化するアーティストとして知られる。一方で、「アルヴァ・ノト」名義で電子音楽の制作を中心としたミュージシャンとしても活動している。坂本とは2002年以降、さまざまな形でのコラボレーションを行っており、共同でアルバムをリリースしたり、ライブツアーも行ってきた。

展示ボード解説より

 

坂本の最後のアルバム『12』から「20210310」と「20220207」というトラックを用いた映像作品。

カールステン・ニコライが音楽活動をしているのは知らなかった。
鑑賞したことのある彼のアート作品は以下↓

 

Light InSight―拡張する光、変容する知覚―@ NTTインターコミュニケーション・センター
ホワイトノイズ!白色雑音である。テレビ放送がないとき聴こえる、ざぁーっていうあれ。そんな単語を聞いただけで気分はもう、ここではないどこか。二本のスピーカーの間で少しずつ頭を動かすと、ノイズは高く高く高くなり、あるポイントで無音の域に突入する。それが、「ブラインド・スポット」そこはもう宇宙空間なのだった。逝った!そして、さらに移動するとふたたび音は響いてくる。それらはまるで自分の頭の中で聴こえているよう。 響かない部屋なので、音響が回りに拡散しないからなのかな。
「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」@森美術館 でシンプルとは何かを考えた
シンプルという言葉は、禅や侘び寂びなどを連想させる。では、そこに美や快を見出したり感じたりする自分の感性はどういうからくりからそうなるのだろう。そんなことがわかるといいなと思いながら鑑賞した。

 

on async

アルバム『async』の制作過程でインスピレーションを与えた書籍、写真、メモ、調面などが展示されていた。

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

 

坂本龍一+アピチャッポン・ウィーラセタクン《async–first light》2017

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

タイの映画監督アピチャッポン・ウィーラセタクンとのコラボレーション。

坂本は、2017年のアルバム『async』を契機に、曲を立体的に聴かせることを意図し始めた。

 

 

坂本龍一+高谷史郎《async–immersion tokyo》2024

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

こちらもこの展覧会に合わせて制作された。

《async–immersion tokyo》(2024) は、坂本の没後にこれまでの「async」シリーズを深化させた形でAMBIENT KYOTO 2023で発表した大型インスタレーションを東京都現代美術館の展示空間にあわせて再構成する新作です。

出典:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/

 

いつまでも見ていたかった作品。
見ていると瞑想のような酩酊のような意識レベルの低い状態になるように感じられた。

 

坂本龍一+Zakkubalan《async–volume》2017

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

Zakkubalanとのコラボレーション作品《async–volume》(2017) は、『async』制作のために坂本が多くの時間を過ごしたニューヨークのスタジオやリビング、庭などの断片的な映像が、それぞれの場所の環境音とアルバム楽曲の音素材をミックスしたサウンドとともに一つのインスタレーションとして構成された作品です。24台のiPhoneとiPadが壁に配され、鑑賞者は世界に開かれたたくさんの“小さな光る窓”を通して坂本の内面を覗き込むような、あたかも胎内にいるような感覚に囚われます。

出典:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/

 

すごく好きだったインスタレーション作品。
本人不在なのにもかかわらず、全体として坂本氏の存在感が非常に立体的に濃密に感じられる映像作品となっている。

坂本氏のご子息だったからこそ作り得た作品なのだろうな、とも思う。

 

坂本龍一+高谷史郎《LIFE–fluid, invisible, inaudible…》2007

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

 

2007年に発表された代表作《LIFE–fluid, invisible, inaudible…》(2007) は、坂本のオペラ『LIFE』(1999) をベースとするサウンドに包まれた空間に、頭上に浮かんだ9つの水槽が明滅する中を、庭を散策するようにしばし佇みながら、ゆっくりと歩み、従来のリニアな体験とは異なる時空間の拡がりと流れを体感できるインスタレーション作品です。

出典:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/

 

9つの水槽の間を行ったり来たり。大規模なインスタレーションだ。
スピーカーは22個あって、場所によって音の聴こえ方が違う。

 

坂本龍一アーカイブ

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

 

松井茂氏の監修による、刊行物や未刊行の資料などのアーカイブが展示されていた。

読書家で好奇心も旺盛、思慮の深い坂本の、80年代の自筆メモが特に興味深かった。
当時の彼の頭の中を覗き見るような感覚。

 

坂本龍一ソロデビューアルバム「千のナイフ」の彼自身によるライナーノーツの文章↓を思い出した。

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館
久しぶりに棚から取り出したLPレコード

 

当時高校生だったわたしは、カッコいい!と思い、何度もこのテキストを読み直したものだった。
おそらくそれ以降の自分の人生にも影響を及ぼしたと思う。
(でも今ひさしぶりに読み直してみると、ああ彼も若かったんだなぁ……と感じた😊)

 

坂本龍一×岩井俊雄《Music Plays Images X Images Play Music》1996–1997/2024(初公開)

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

本作は元々1996年に水戸芸術館で初演された坂本龍一と岩井俊雄による音楽と映像のコラボレーションであった。
岩井の所蔵するアーカイブ資料から発掘された、坂本が演奏するMIDIデータとその記録映像データから再現展示を行う。

出典:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/

 

 

ただひたすらに美しかった。
すぐそこにいるよう。手が届きそうで届かない。
肉体はなくなっても、彼の魂はまだここにしっかりとあるように感じられた。

 

坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ 2024–不可視、不可聴 (MOT version)》2024

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

真鍋大度とのコラボレーション《センシング・ストリームズ 2024–不可視、不可聴 (MOT version)》は、携帯電話、WiFi、ラジオなどで使用されている電磁波という人間が知覚できない「流れ(ストリーム)」を一種の生態系と捉えた作品です

出典:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/

 

身の回りを飛び交う電磁波を、目に見える、聞こえる形にした作品。

真鍋大度はPerfumeのビジュアル演出などで著名な、ライゾマティクスを主宰するアーティスト。

坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎《LIFE–WELL TOKYO》霧の彫刻 #47662 2024(新作)

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

1970年に大阪万博のペプシ館を水を使った人工の霧で覆った「霧の彫刻」で知られ、世界各地で霧のプロジェクトを実施している中谷芙二子とのスペシャル・コラボレーション。
坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎《LIFE–WELL TOKYO》霧の彫刻 #47662は、東京都現代美術館屋外のサンクンガーデンを使って、霧と光と音が一体となった、自然への敬愛や畏怖の念を想起させるような夢幻のシンフォニーを奏でます。

出典:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/

 

霧の中に入ったら何も見えなくなった。
いっしょにいた友人ふたりも霧のなかに溶けた。ちょっと怖くなった。

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

 

「霧の彫刻家」中谷芙二子の父は、世界で初めて人工の雪の結晶をつくった実験物理学者の中谷宇吉郎。

 

ミュージアムショップの充実度

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

グッズの種類が多くてびっくり。
懐かしいアルバムジャケットのTシャツには心惹かれた。

 

購入したのはポストカード↓

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

 

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NHK 日曜美術館 「音を視る時を聴く 坂本龍一×アート」

この展示を扱ったNHKのアート番組「日曜美術館」がとても良かったので、こちらも触れておこうと思う。司会はNHKアナウンサー守本奈実と、坂本美雨。

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

坂本氏と長年親交のあった浅田彰氏がナビゲート。
(若い頃自分は、浅田氏の著書『構造と力』を読んで感銘を受けた。なんかこの方あまり年を取ってないように見える……)

 

インタビューの中で高谷史郎氏が語っていたことが印象的だった。

感想「坂本龍一|音を視る 時を聴く」@ 東京都現代美術館

2020年、高谷とともに「TIME」を制作中、坂本の新たな癌が見つかった。68歳のときだった。
転移も見つかり、余命半年を宣告される。
「時間とは一体何か?」と考え、科学や哲学などの書物を猛烈に読んでいた坂本が、高谷に打ち明けたその答えは「時間は存在しない」ということだったという。

坂本との時間は楽しく、いつも笑っていた記憶しかない、あっという間の出来事、まさに「一炊の夢」だったとも。

 

また、坂本と度々会話を重ねていた生物学者の福岡伸一氏は、彼は病を得たことで時間に対する思索を深めた、と語っていた。
福岡氏は、近代科学で考えられてきた時間は実はうそ、だとも言っていた。

 

展示内容だけでなく、多方面から坂本龍一の人間像を描き出す良い番組だったと思う。

坂本龍一(SAKAMOTO Ryuichi/音楽家)
1952年、東京都生まれ。1978年『千のナイフ』でソロデビュー。同年「Yellow Magic Orchestra」結成に参加し、1983年の散開後も多方面で活躍。映画『戦場のメリークリスマス』(83年)の音楽では英国アカデミー賞、映画『ラストエンペラー』の音楽ではアカデミーオリジナル音楽作曲賞、グラミー賞、他を受賞。環境や平和問題への取り組みも多く、森林保全団体「more trees」を創設。また「東北ユースオーケストラ」を立ち上げるなど音楽を通じた東北地方太平洋沖地震被災者支援活動も行った。1980年代から2000年代を通じて、多くの展覧会や大型メディア映像イベントに参画、2013年山口情報芸術センター(YCAM)アーティスティックディレクター、2014年札幌国際芸術祭ゲストディレクターを務める。2018年piknic/ソウル、2021年M WOODS/北京、2023年 M WOODS/成都での大規模インスタレーション展示、また没後も最新のMR作品「KAGAMI」がニューヨーク、マンチェスター、ロンドン、他を巡回するなど、アート界への積極的な越境は今も続いている。2023年3月28日、71歳で逝去。

出典:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/

 

坂本龍一|音を視る 時を聴く
会期:2024年12月21日(土)~2025年3月30日(日)
開館時間:10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
※3月7日(金)、14日(金)、21日(金)、28日(金)、29日(土)は20:00まで臨時夜間開館
休館日:月曜日(1月13日、2月24日は開館)、12月28日~1月1日、1月14日、2月25日
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F/B2F ほか
観覧料:一般2,400円(1,920円)/大学生・専門学校生・65 歳以上1,700円(1,360円)/中高生960円(760円)/小学生以下無料

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