『重力ピエロ』伊坂幸太郎著

文学
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伊坂作品を読むのは、『死神の精度』についで二作目。その感想メモ。
これは、読後感は悪くないけれど、ちょっと詰め込みすぎて込み入った印象を受けた。

 

 

『死神の精度』を読んだときは、新しい才能との出会いに驚愕した。
あちらこちらに仕掛けられた伏線、そしてそれらの見事な展開。
この人の製作ノートを見てみたい、SE出身なのできっと精巧なフローチャートのような形式なのではないか、と考えたりした。

そんなチャートがあるとするならば、今回のそれは、すっきりとした美しいながめのものではないだろう、と思った。
登場人物はみな魅力的だし、物語じたいにも力がある。
けれども、粗を感じるところが多く、ところどころで興醒めしてしまったのも事実だ。
例えば、台詞がわざとらしく浮いてしまっている箇所、著者の主張を登場人物に言わせているのだな、と感じさせてしまっている場面、断片的なエピソードのパズルがうまく組み合わさってないところ、などなど。残念だ。

だがしかし、細部にちりばめられた仕掛けや小道具は、どこまでも知的で刺激的。
著者の才気やセンスの良さが迸るようだ。
それにこの人、タイトルのつけ方が絶妙。スタイリッシュなのである。

 

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