『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ著を読んだ
町田そのこの『52ヘルツのクジラたち』を読みました。本屋大賞受賞作品。2024年春に映画化されるとのこと。読後メモです。ネタバレあり。装丁の福田利之氏のイラストに惹かれ、ずっと読みたかった一冊。こちらは文庫本版の表紙。可愛い......。第1章、読み初めは何となく文体も描写も合わないかも、と感じた。けれども最後の方は泣きながら読んで、物語を追っていた。ストーリーの良さで読ませるものはやはりあるのだなぁと感じた。ちょっと書いたことがあるものだから自分は怪しげな評価目線でいつも小説を読んでいるんだ、と感じた。物語の強度は文章のテクニックなんぞを跳躍する。アンさんの存在がやはり大きい。キナコ(貴瑚)への想いが悲しい。なぜ気持ちを打ち明けなかったのか?その訳が明かされた時のやるせなさ。アンさんなりのキナコへの愛情の示し方。辛い。読後感として一番それが大きい。