テーマ自体はとても興味深く、著者がさまざまなジャンルの知識
を駆使して書いていると感じさせる。
2012年のアセンションをテーマに、多様なしかけを用いて
ストーリーを構築・展開し、著者なりの解釈をはっきりと提示して
いる作品である。
にもかかわらず、人物描写にクセが感じられ、途中それが鼻につく
ようになってからは、物語自体をも楽しめなくなってしまった。
罪なことだ。
特に主人公の冴子が好きになれない。
周りの登場人物が彼女のことを魅力的だと言えば言うほど、著者の
描写不足があぶり出されるというしかけ。
著者自身の女性というもののとらえ方が当然のことながら、冴子の
台詞や行動に反映されているのだが、それがどうにも俗っぽく、
好きになれないのだ。
いかにも女性が言いそう、と思われるような(男性が想定しそうな)
台詞が多く、いまどきの女性はそこでそんなこと言わないよ、と
苦笑する箇所が多々あった。
あくまでも個人的感想なのだが、読み進むうちに段々と嫌になって
きた。
残念。下巻の途中からとばし読みになってしまった。
アール・ヌーボーの建築 #3 ~バルセロナ編
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