MUSIC

アート

『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ著を読んだ

町田そのこの『52ヘルツのクジラたち』を読みました。本屋大賞受賞作品。2024年春に映画化されるとのこと。読後メモです。ネタバレあり。装丁の福田利之氏のイラストに惹かれ、ずっと読みたかった一冊。こちらは文庫本版の表紙。可愛い......。第1章、読み初めは何となく文体も描写も合わないかも、と感じた。けれども最後の方は泣きながら読んで、物語を追っていた。ストーリーの良さで読ませるものはやはりあるのだなぁと感じた。ちょっと書いたことがあるものだから自分は怪しげな評価目線でいつも小説を読んでいるんだ、と感じた。物語の強度は文章のテクニックなんぞを跳躍する。アンさんの存在がやはり大きい。キナコ(貴瑚)への想いが悲しい。なぜ気持ちを打ち明けなかったのか?その訳が明かされた時のやるせなさ。アンさんなりのキナコへの愛情の示し方。辛い。読後感として一番それが大きい。
旅と音楽

秋の京都で出会ったラブドラム〜 大石一裕氏のライブ@松の杜くげぬまに行ってきた!

会場となった「松の杜くげぬま」は、みどり豊かなお庭を持つ1928年に建てられた住宅。本当に素晴らしい時間だった。さまざまな鳥の声や虫の音、ひとびとのくらす気配と大石氏のやさしいドラムの音色が渾然一体となって鳴り響いていた。木の葉が揺れ、庭を歩く鳥がいて、それもまた楽曲の景色となる。陶然として、ちょっと眠くなるようなバイブレーション。今回の演奏のテーマは「自然と音楽との調和」とのこと。大石氏はMCの中で無我の境地に触れ、「わたしがラブドラムなのか、ラブドラムがわたしなのか」わからなくなるような演奏を目指していると話されていた。
旅と音楽

【残像日録】ラブドラム〜 秋の京都で出会ったやさしい音色

去年の秋、京都を旅した時のこと。銀閣寺から伸びる哲学の道を永観堂に向けて歩いていると、何となく懐かしいような響きが耳に届いた。いつかのうたた寝の、夢の中で聞いたことがあるような、輪郭のあいまいな、やわらかい音色......。さらに歩いていくと、ひとりの青年が路上に座り、日差しの中で見たことのない楽器を奏でていた。黒くて大きくて繊細な彫り模様が入っている打楽器。それを抱え慈しむようにマレットで叩いている。まるで光と風と戯れるようなやさしい音色。響きが透き通っていて、自然の音に限りなく近い気がした。たちまち惹きつけられてしまった。ラブドラム(Rav Drum)という楽器だという。
音楽

Sportify(スポティファイ)のちらしが新聞折込に〜 Z世代の生活傾向

数日前、我が家でとっている新聞にSportify(スポティファイ)のちらしが入っていました。Spotifyは世界最大手の音楽配信サービス。スウェーデンの企業。2021年7月時点で、3億6500万人(うち有料会員1億6500万人)のユーザーを抱えているとのこと。(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/Spotify)色合わせがきわめて北欧。良質な印刷の、カッコいいA3判ちらしを手にとってしみじみとながめました。手触りすべすべです。でも、これって費用対効果としてどうなのだろう......。
アート

愛にあふれてる!ONION氏のつくる可愛くて豊かな世界

アーティストであるONION(鬼塚哲郎)氏の個展「ONION MOSAICO展 ~ Ryu ~ 」 を観に、清澄白河のギャラリーを訪れました。ONION氏の個展には、以前も伺ったことがあります。前回の展示のあとONION氏は、単身イタリアに渡りました。7年間のモザイク修行を経て帰国。故郷の宮崎に戻りました。今回はモザイク作家としての個展です。
旅と音楽

【残像日録】夢から覚めても「白春夢」

2020年12月リリースのMy Hair is Bad の「白春夢」。この曲ほど、あのステイホーム期の感覚をよく表している曲があるだろうか。若い人特有の優しい言い回しの歌詞と、つぶやくように淡々と歌い上げる椎木氏のボーカルに、今聴いてもあの頃が自然と思い出され、こころが揺さぶられる。家にいるのに「早く帰りたい」と思ってしまうこと。閉塞感とともに感じる、浮遊感。非現実的な世界にいるようなおさまりのなさ、居心地の悪さ。
本と映画

【残像日録】「凪に溺れる」と「100万回生きたねこ」

青羽悠氏の「凪に溺れる」を読んだ。読み始めてすぐに「面白いけど今の自分には必要のない小説だな」と思った。そして、自分のこの感想は何を意味するのか?と考えた。自分はたぶん、タイトルに惹かれて読もうと思ったのだと思う。海の穏やかな状態である「凪」。そこで溺れるというのはどういうことだろう。タイトルの叙情性に惹かれた。
アートとデザイン

カルーセルエルドラドはどこに行くの?〜「思い出のとしまえん」@石神井公園ふるさと文化館

「としまえんの乗り物の第二の人生」というボードには、カルーセルエルドラドはなかった。 調べてみても、一度解体してメンテナンスする、という以上の情報はない(2021年10月6日現在)。カルーセルエルドラドが2010年に認定された「機械遺産」には「動く状態で存在すること」という条件があるのだそうだ。確かに作られて100年以上の月日が流れ、老朽化しているだろう。しばらくの間はお休みして、またどこかで会えたらいいな。「としまえん」も「西武園ゆうえんち」も西武グループ所有だから、カルーセルエルドラドは、西武園に行く可能性が高い?!かもしれませんね。
残像日録

【残像日録】あたらしい日々

残像カフェの「あたらしい日々」。初めてこの曲を聴いたのはもう15年以上前。音楽チャンネルで見て感動して、録画して(当時はYouTubeも発達してなかった)CDも購入した。大森元気氏のふわっとした歌声と、自分のこれまでの人生を思い起こさせるような甘く切ない歌詞。聴いているうちに自分が浄化されていくような、そんな感覚を味わえる曲だと思った。
残像日録

【残像日録】喜怒哀楽のインデックス

とにかく、いまの自分を心地よくするようなインデックスを日頃からストックしておきたいな、なんて思う。せっかく生きているんだから。 死が少しだけ身近に思える、こんな時世だからなおさらのこと。
残像日録

【残像日録】コロナ時代の子ども達 〜シガー・ロスのMVを再び見た

シガー・ロス(Sigur Ros)の「Untitle #1」のミュージック・ビデオをまた思い出すことになろうとうは、思いもしなかった。2003年にリリースされたこのMVを前回思い出したのは、2011年の原発事故のとき。メルトダウンとかメルトスルーとか帰還困難区域とかの文字がこの国で使われ始め、子ども達の健康を案じているころ、このビデオを思い出した。
音楽

ヨルシカ「花に亡霊」や Eve「いのちの食べ方」を見ながら創作について考えた

ヨルシカ「花に亡霊」や Eve「いのちの食べ方」 なんというか、饒舌なんだ。過剰なほどに。 目が離せない感じの疾走感。イメージの洪水。圧倒されてしまう。 ビジュアルから受ける粗削りな印象は表現として未成熟なところもあったりするかもしれないけれど、それが魅力とも言える。
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