アール・ヌーボーの建築 #3 ~バルセロナ編
2016-04
ひとつひとつが夢のように美しい セルゲイ・パラジャーノフ監督「ざくろの色」
「余りにきれいなので泣ける」「ストーリーもセリフもほとんどない。カメラも動かない。聴き慣れない民族音楽が流れ、見たことのないような、鮮やかな色や形が、絵画のように風景から切り取られて、次々と現れては消えて行く。一つひとつが夢のように美しい」
河瀬直美監督作品「あん」
秀逸だったのは、樹木希林演じる徳江がどら焼きのあんを作るシーン。暗くちっぽけな厨房で彼女は、あずきの入った鍋をのぞき込んでいる。その横顔の輪郭だけにカメラのピントは合い、それ以外はまろやかにぼけている。彼女の立つガス台のかたわらにささやかなガラス戸があり、その向こう側には柔らかな春の日差しが広がっている。ほぼ逆光。